ブックレビュー

【書評】退歩を学べ――ロボット博士の仏教的省察 著:森政弘

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進歩、発展、前進は当たり前。停滞、後退などはもってのほか。そう、我々は思い込んでいるのではないか。滞ること、退くことに価値を見出そうとはあまりしない。

ところが、工学博士で仏教にも造詣深い森先生は指摘する。「退歩なくして真の進歩はあり得ない」。「退歩」とは禅籍に出てくる言葉で「一度立ち止まる」こと、または「一歩、退(ひ)てみること」を意味する。立ち止まり、一歩退いてものごとを捉え直すと、失敗と決めつけていたことのなかに、かけがえのない宝が隠れていたりする。押してばかりではなく、引くことも必要だったと気づく。負の結果も成功の糧に転じたりもする。

前進することだけでなく、「退歩」も忘れるな。退歩とは、逃げることや引きさがることでは決してない。

〈書籍情報〉
退歩を学べ――ロボット博士の仏教的省察
著者:森政弘
出版社:佼成出版社
定価:本体900円+税
発行日:2011年11月15日
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