働き方改革が叫ばれる中、ブラック企業の対極にある「ホワイト企業」が注目されている。
社員の幸せや生きがい、社会への貢献を第一に考える企業だ。
「そんな会社、ほんとうにあるの?」。そう思う方はぜひお読みいただきたい。
今回は、元受刑者を雇用し続ける札幌の「北洋建設」が登場する。
自らも難病をかかえながら、「だれもが幸せになれる社会」を目指しているという、小澤輝真社長の思いとは――?
誰もが人に役立つ力を持っている
北洋建設・小澤輝真社長
余命4年の日々を元受刑者雇用に捧げて
台風7号の影響で、全国的に荒れ気味の天気となった7月6日──。
東京の帝国ホテルで、社会に貢献があった人びとを表彰する『社会貢献者表彰式典』があった。主催は公益財団法人社会貢献支援財団。日本財団からの助成のもと、人命救助や社会福祉、国際協力や環境保護などの分野で目を見張る活躍を成し遂げながら、その功績が広くは知られていない人びとを発掘し、表彰することを目的とした団体である。毎年2回、表彰式を開催しており、今回は50回目に当たると言う。
そんな記念すべき式典の壇上に車椅子に乗った男性が上り、同団体会長である安倍昭恵氏(安倍晋三総理夫人)より表彰状を受け取った。昭恵夫人の「ありがとうございます」の言葉に、頭を下げて表彰状を受け取る。
男性の名は小澤輝真さん(43歳)。北海道は札幌市に本拠を置く建設会社の代表で、『脊髄小脳変性症』という身体が徐々に動かなくなる難病を患っており、すでに4年の余命宣告を受けている。そんな困難を抱える身でありながら、これまでに2億円の私費を投じて500名を超える元受刑者を雇用。これが高く評価され、今回の顕彰となったのだ。
元受刑者の雇用を続けた功績により表彰された小澤社長(前列右)
法務省の政策評価企画室が平成29年10月にまとめた『再犯防止対策の概容』によれば、平成28年の検挙者23万9355名のうち、48%に当たる11万4944名が再犯者で、内72・1%が拘留時無職であったという。さらには仕事がなかった人の再犯率は26・5%で、仕事を持っていた人の再犯率7・7%のおよそ3倍におよぶとしている。出所した人たちに『仕事』と『居場所』を提供することが、再犯撲滅に欠かせないとしているのだ。
小澤さんが言葉に力を込めて言う。
「つまり元受刑者が働ける場があれば、再犯の数を7割減らせ、再犯率を1/3にできる可能性があるのです──」