感情は時間に支配されている
(画像・PIXTA)
前回は、「怒りの研究」を進めるにあたって、焦りは禁物であるというお話をしました。それは、怒りというものが簡単にはなくならない厄介な存在だからですが、焦らないということ自体が、怒りをなくしていくうえで、とても役に立つことかもしれません。
人間は焦るとろくな結果が得られません。たとえば、コンピューターのセッティングをしようというときは、じっくりと作業に当たれる余裕があるときを選ぶことが肝心です。これから出かけなければならない、などというときに作業を始めると、失敗しやすいものですし、時間までに終わらないと、そのことばかりが気になって、次に取り掛かる仕事や約束に支障をきたします。
そうなると、ちょっとしたことに対しても怒りがこみ上げてきてしまいます。一つの焦りが次の焦りを生み、悪循環に陥っていくことになるのです。
では、じっくりと怒りについて研究をしようとするとき、どういったことから始めればいいのでしょうか。ここは時間をかけて考えようというのですから、まずは大きなところから見ていくことにしましょう。
バックナンバー「 宗教学者 島田裕巳の“怒りの研究”」