“幸せ力”をつける

物事はいいように考える、と努めていく―内田 樹―

思想家 内田 樹
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できればいつも機嫌よく振舞いたいもの。
その秘訣とは――。

思想家 内田 樹

自ら努めて機嫌をよくする

余程のことがない限り、ぼくはHappy-go-luckyを心がけています。何事もいいように受け止めるようにしています。

教師の本業のほかに、ぼくは合気道を教えています。大学を卒業して、定職もなく、アルバイト暮らしだった頃に稽古を始めたのですが、武道を修業していると「機嫌よく生きる」ことの大切さが、身にしみてわかります。

武道というのは、生き死にに関わる極限状況をどう生き延びるか、についての技術の体系です。死活的な状況のときに、くよくよ悔やんだり、取り越し苦労したり、人を恨んだりしていても、生き延びる可能性は上がりません。

ぎりぎりの状況においてこそ、身体能力も知的能力も、最大化しなければならない。そして、考えてみると、心身の機能が最大化するのは「機嫌のいいとき」です。ですから、常住坐臥、どうやって「機嫌のよい人間」であり続けるかをぼくは考えています。

普段から、嫌なことが起きないよう一生懸命に努力していても、突然、天から降ったようにとんでもない災厄が降りかかる。人生ってそんなもんです。

ぼくもそんなときはへたりこみます。「人間ってここまで弱るか」と思うこともあります。でも、そのままでは命が縮むのがわかる。どこかで食い止めないといけない。どうしたら自分の生命力を復活できるか、どうすれば機嫌よくなれるか、それを必死に考えます。

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