僧侶の藤田一照さんが、
作家の広瀬裕子さんからの
100の質問に答えます。
――禅宗は、いま、ふたつに分かれています
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――禅は、個性を大切にします
実際は、もっともっと分かれています。
禅は、個性を大事にします。
生身の人がどう生きるかということなので、
その人独自の表現がでてくるわけです。
だから、中国では、家風のちがいで五家七宗と言われました。
そのなかに臨済宗や曹洞宗があったんです。
一番、主流になったのが臨済宗、そのつぎが曹洞宗。
それが日本にはいってきました。
そして、それがまた、日本独特の展開を遂げ、いまに至ります。
※五家七宗 中国禅の南北二宗のうち、南宗において家風を異にする代表的な系統を掲げたもの。
※臨済宗 日本には、鎌倉時代に栄西らがつたえた。一休、沢庵、白隠などが有名。
※曹洞宗 中国に渡った道元が日本に帰国して、1244年に永平寺を開いた。
藤田一照
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今回、一照さんに100の質問をしました。
坐禅のときに感じていた疑問が「ああ、そういうことか」となったことがいくつかあります。
「あたらしいわたし」というのは、もう一度、生まれ変わる、ということです。
生まれ変わるのは、何度でもできます。
できごと、ものごとの見方を変える、受けとめ方を変える。
それによって、受け応え、表現方法が変化する。自分自身が変化する。
自分が変われば、暮らし方が変わり、暮らしが変われば、自分も、生き方も変わっていきます。
こうしたら、こうなる──。
それは、魔法でもなんでもなく、自然のルール、宇宙のルールだと、一照さんは、言っています。
「真理に目ざめ、生きることで、しあわせになるように」と、お釈迦さまは望まれたそうです。
あたらしいわたしになって、どんなときでも、しあわせであるように。
この本がそのきっかけになれば、うれしく思います。
広瀬裕子
(『あたらしいわたし 禅100のメッセージ』前書きより抜粋)
東京都生まれ。エッセイスト/設計事務所ディレクター/縁側の編集室共宰。「衣食住」を中心に、こころとからだ、日々の時間を大切に思い、表現している。
2017年冬、香川県へ移住。おもな著書に『50歳からはじまるあたらしい暮らし』『整える、こと』(PHP研究所)、『手にするものしないもの 残すもの残さないもの』(オレンジページ)など多数。
1954年愛媛県生まれ。曹洞宗僧侶。東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻博士課程を中途退学し、紫竹林安泰寺にて出家得度。1987年よりアメリカのマサチューセッツ州にあるパイオニア・ヴァレー禅堂に住持として渡米。のち、サンフランシスコの曹洞宗国際センター長として日本と海外を往還していた。著書に『現代坐禅講義――只管打坐への道』(佼成出版社)ほか。