働く者を幸せにする経営

GCストーリー株式会社 「腹を割ってなんでも話せる会社」

編著=前野隆司 取材・文=千羽ひとみ(フリーランスライター)
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「自前の車一台に乗り込んで全国の看板施工会社さんに看板ナビの説明に行くと、職人さんから〝ネットで買うより電話したほうがずっと楽だよ〟とか言われて。電話をすれば馴染みの会社がすぐに資材を持ってきてくれるわけだから、〝確かにその通りだよなあ〟と思いました(笑)」(西坂さん)


車で全国の看板屋を回り、職人さんと語り合っていたころの西坂社長

だがそんなどさ回りのような全国行脚を続けるうちに、気がついたことがあった。
〝世の中の看板施工会社は、なんと厳しい現実の中で生きているものなのか……〟

看板を依頼するクライアントと施工会社の間には、広告代理店や建設会社などが存在し、何層にもおよぶ下請け構造が存在した。ひたいに汗を流して働く職人さんたちはといえば、まぎれもなくその最下層。厳しい予算とスケジュールのもと、働いているのが現実だったのだ。

そんな厳しい現実は、〝なぜ人は働くのか?〟〝世の中の役に立ち、貢献できる仕事がしたい〟と考え続けていた青年の心を強烈に刺激した。

西坂さんは発想を一転、全国の屋外看板施工会社や資材メーカー、物流会社などをネットワーク化することを思い立つ。ネットワーク化して協力体制を構築できれば、上下のない水平な関係で仕事を請け負うことができる。看板を作りたいクライアント側にしてみても、ネット上のプラットフォームで申し込めば、全国どこにでもどこからでも、企画から発注、工事とその施工管理までワンストップで、さらには大量出店にも対応してもらえた。

このプラットフォームは、全国の屋外看板関連企業に大きな反響を巻き起こした。加入申し込みが殺到することとなったのだ。

看板ナビの売上はトントン拍子に増えていった。押し寄せる加盟希望社数は、新事業としての手応えを感じるに十分だった。
この頃、新規事業で始まった看板ナビ事業を独立させる形で誕生したのが、リスペクト株式会社(後に看板ナビ事業をサイベイト株式会社【現・GCストーリー株式会社】に移管)である。

※本連載が書籍化されました! 続きはこちらでお読みください。

幸せ企業のひみつ 〝社員ファースト〟を実現した7社のストーリー
編・著者:前野隆司 著者:千羽ひとみ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,400円+税
発売日:2019年7月17日

幸福学研究の第一人者・前野隆司氏が「社員を幸せにする」7社を紹介。“社員ファースト”の実現が上向き経営につながった実例をレポートする。本サイトでの連載に 「第1部 ホワイト企業を目指す意義とは」(前野隆司)を加筆。

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