──本書に込めた思いを教えてください。
一照さんは「体で感じてつかむ」ことを大切にされているので、私たちに坐禅修行をする意味については、深く語られることはありませんでした。ただ、一照さんの口からポツリポツリと発せられた言葉に心が吸い寄せられ、そして不思議ですが、体が坐りたがっているように感じていたのです。
三年半、坐って体験し、感じたことや生じた疑間などを、私から一照さんに投げかけました。禅の教えは、私にこれまでとは違った価値観をもたらしくれました。
坐禅指導をする藤田一照師
そして、本を書き終えたあとでは、「体でつかむ」という意味も分かった気がしています。ある方が、「よいことだと思っても実行しないのは、体が納得していないから」と教えてくださいましたが、言い換えれば、頭も心も体も納得しなければ、私が全体で分かったとはいえないということでしよう。
一照さんの言葉一つひとつが、私の中ですっと落ちていくというか、体が「うん」と返事をしているように感じられたのは、坐禅をしていたからだと思います。
すでに坐神をしている人はもちろん、生き方に行き詰っている人にも読んでほしい。少しでも心に新しい風を感じてくれたら嬉しいです。
*広瀬裕子
東京都生まれ。エッセイスト/設計事務所ディレクター/縁側の編集室共宰。「衣食住」を中心に、こころとからだ、日々の時間を大切に思い、表現している。
2017年冬、香川県へ移住。おもな著書に『50歳からはじまるあたらしい暮らし』『整える、こと』(PHP研究所)、『手にするものしないもの 残すもの残さないもの』(オレンジページ)など多数。
広瀬裕子オフィシャルサイト http://hiroseyuko.com
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