日本伝統仏教者のためのマインドフルリトリート

【基調講演1】「プラムヴィレッジにおける戒律、サンガ、 マインドフルネス・トレーニングの関係について」 その1

チャン・ファプ・フイ師
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五つのマインドフルネス・トレーニング(*)

数日前に私たちは、富士の裾野でたくさんの人たちと一緒に、だいたい人数的には全部で200人弱ですか、一緒にプラクティスをしました。それは「プラムヴィレッジ僧侶団  マインドフルネス来日ツアー2019」(4/27〜5/19)のイベントの一つ、「4泊5日 富士山リトリート」でした。その最終日に一つのセレモニー(受戒式)がありました。40人の参加者の方が「五つのマインドフルネス・トレーニング」(「五戒」を現代生活に合わせてリニューアルしたもの)を受戒されました。

富士山リトリートでの「歩く瞑想」

40人もの参加者が「五つのマインドフルネス・トレーニング」を受けられたということはたいへん嬉しいことでした。この「五つのマインドフルネス・トレーニング」の基盤を深く見て行きますと、そこには先ほどお話しした250戒の基盤と共通の部分が見えてきます。在家の方でも、この「五つのマインドフルネス・トレーニング」を実践するならば、人生はとても安らぎに満ちて、たいへん幸せなものになります。そして私たちが、そのトレーニングを進めて行くためには、それを行う仲間、コミュニティーが必要となってきます。

例えば、山に住んでいる虎が、村に一頭だけで出てきます。そうしたら、その虎は人間に殺されてしまいます。出家である我々も、もし一人きりで社会の中に出て行ったならば、つまり社会の側に取られてしまいます。実際にプラムヴィレッジの出家として、社会の中に出て行く時には、私たちは、少なくとも、5人や10人といったグループを組んで出て行きます。今回、日本にやって来ました我々のグループは13人です。

来日した13人のプラムヴィレッジ僧侶団と日本のサンガの仲間たち

戒の成り立ち

それに加えて、今ここには私たちをサポートしてくださる日本の在家サンガの仲間たちがいます。そして私たちは皆で一緒に実践をいたします。ですから、リトリートというものは、本当に意義深い。そして、たいへん大きな実りがあるものです。

一人っきりで出かけないで、私たちは必ずグループで行って帰ってくるようにしています。こうしたやり方というのは、いろいろな角度から助けになります。

例えば、出家である我々がグループで、一緒に「歩く瞑想(ウォーキング・メディテーション)」をやっていたとします。それを見た在家の人たちが「あーっ、こういうふうに、歩く瞑想ってやるんだ」と一発で、じかに学ぶことが出来ます。

そういう意味で、一人だけでリトリートをすると、その質というもの、そこから受けるものというのは、それだけ小さいものになってしまいます。全部自分一人でやらなくてはなりませんから。しかし、私たちはこうやってグループで生きております。「ダルマティーチャー」という教える資格を持っている人も沢山いますので、その中で私たちは、お互いに支え合い、分かち合うことができます。

それから、より多くの在家の方たちにために、一人一人と向き合う個人面談を行うこともできます。食べる瞑想やすわる瞑想などでも、出家たちと一緒に座っていると、それだけでも、大きなサポートになります。ですから、このサンガと呼ばれる実践のコミュニティーは、非常に大切な要素なのです。

プラムヴィレッジではこのように、タイと私たちは「一粒の水滴」ではなく、まるで川のように一体となって流れることを大切にしています。それは同時に「」を手放していく、「無我」の重要な実践にもなります。ですからマインドフルネスを実践する時には、このように支え合うグループ、仲間が大切なのです。一人っきりで修行をするとすれば、それはかなり困難なものになるでしょう。

*「五つのマインドフルネス・トレーニング」とはプラムヴィレッジ版の「五戒」のこと。詳しくは、以下のリンクを参照

https://www.tnhjapan.org/5mt

(次回へ続く)

チャン・ファプ・フイ(真法暉)
ティク・ナット・ハン師の弟子の一人。チャン・ファプ・フイ(真法暉)師は、ベトナム系アメリカ人のプラムヴィレッジのダルマティーチャー。2001年2月12日、プラムヴィレッジ・フランスにおいて25歳で僧侶として出家。2004年2月9日に具足戒を受ける。2008年、ティク・ナット・ハン禅師より法灯を継承。現在、アメリカ・ミシシッピ州にあるプラムヴィレッジのマグノリア林僧院の僧院長を勤める。目下は、ベトナムの総本山・慈孝寺に移られたティク・ナット・ハン師の付き人を務めている。
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