会場となった、葉山茅山荘の坐禅堂
3月18日、磨塼寺住職・藤田一照師による坐禅会に参加してきました。
磨塼寺とは、ネット上の会員制のバーチャル寺院で、3カ月に2度くらいの割合でリアル坐禅会が開催されます。
今回は、正会員のみならず、メール会員と未会員の方も招いての開催となりました。今回のテーマは「五感を開く」です。
骨盤模型などを使いわかりやすい指導がつづく
まずはボディワークとして、韓氏意拳の光岡英稔さんとのコラボで一照さんが学んだ古武術の身体の使い方を共有させていただきました。
身体には、裏と表があるということです。例えば、右手のひらを相手に向けているときは「裏」となります。これでは「不定位」といって身体に力が入らず、押し返されてしまいます。
今度は、左手のひらを相手に向け押してもらうと、あら不思議、力負けしません。これは「定位」ということになるのだそうです。
定位と不定位を身体で確認する
人間には、利き手というものがありますが、利き手が強いとは限らない、この裏と表をつかった「定位」の姿勢こそ、安定して力も発揮できるのです。
次に、「型」について学びました。この型は、文字通り形が大切なのではなく、形に至るまでのプロセスが大事なのです。
例えば、足を揃えた姿勢から、左足を大きく開き騎馬立ちになって両拳を上に向け腰の位置で構える。そこから、右手、左手、さらに右手と丹田の前に手のひらを下に順番に持ってくる。
するとどうでしょう。両手を上から押さえられてもびくともしません。
しかしこのプロセスをふまずに、いきなり最後の姿勢を取っても、力が入らず両手を押されると崩れてしまいます。
これには理由がありません。人間の身体はそのようにできているという他はないのです。
古の武術家はこれを知っていた。武術を通し身体を鍛えあげ、この深い真理に通達していたということです。
さて、これを坐禅に当てはめてみるとどうでしょうか。
坐禅を組むときの「法界定印」。これは曹洞宗では右手が下、左手が上と指導されます。
法界定印(右手・下)
そこで実際右手を下にした場合と、上にした場合の身体のバランスの具合をみてみます。
法界定印を上記のように2種類試してみますと、右手を下にした場合は肩を左右に押されても安定しています。逆に、上にすると、身体が安定せず、肩に触れられると動揺してしまいます。
このように禅宗でも、身体を使った作法により、行を深めていったということが言えるということでした。現代人にとっては摩訶不思議の世界です。
このボディワークのあと「五感を開く」といった、一種のイメージトレーニングが行われました。「眼・耳・鼻・舌・身・意」の五根(感覚器官)にそれぞれ心を向け、深い気づきを入れていくものです。
例えば、耳であったら、外耳、内耳、三半規管と意識を向けていって、音を感じてみる、というボディスキャンを行うのです。
これをそれぞれに施すことによって、普段、気づかない五感を開いてゆくものです。
こうして、第1部のワークが終わり、第2部では、それぞれに感じたことをシェアしてから自己紹介、一照さんのコメントをいただいて坐禅会は終了となりました。
20人ばかりの参禅者が集う
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