2008年4月7日(土)、日本ホリスティック医学協会の「祈りと瞑想」シリーズ4「『秘教』と『原始仏教』からの瞑想」に参加してきました。
「秘教」について熱く語る神尾氏
はじめは、ホリスティック・リーディング研究所主宰の神尾学氏による講演です。演題は「秘教に基づく瞑想のエネルギー身体論的メカニズム」。
氏は、まず、神智学(協会)の歴史とアリス・ベイリー(英語:Alice Ann Bailey, 1880年6月16日 – 1949年12月15日))の活動などを紹介。女史は神秘主義関係の著作家で、神智学協会から派生した「アーケイン・スクール」(不朽の知恵、秘教占星学)」の創立者です。
そして、ラージャ・ヨーガ(ヨーガの王)による8つのステップの概略とアリス・ベイリーの『魂の光』からその注意点を挙げてゆきます。
また、エソテリック・ヒーリングに言及。
これは、ベイリー女史がチベットのアセンデッドマスター、ジュアル・クール大師からのテレパシーによって伝えられた論文集の中に口述されている技術、のちに実践的な応用法として確立されたものです。
それによれば、臓器や内分泌腺、神経系の機能を司るエーテル体の偏りと、7つのチャクラを整え、調和させる手助けをする、という。いずれにせよ、魂との接触のために「瞑想」が必須と結んだ。
ニルヴァーナ、涅槃とは煩悩の根絶やし状態のことです、と石井氏
次に登壇したのは、石川勇一相模女子大学教授です。「瞑想がもたらす利益と不利益~心理学と原始仏教の視点から~」と題し、心理学的考察が行われました。
まずはじめに、米国の瞑想の主要なルーツとして、①上座仏教、②チベット仏教、③禅仏教、④TM(超越瞑想)が挙げられた。
そして、瞑想の利益と不利益の話だが、これを心理学的にひも解くと、まず利益の代表的なものとして、リラクセーション効果、ストレスの軽減効果、認知の肯定的変容、不安やうつ状態の改善、痛みや過食などの精神的な症状の改善などが挙げられるといいます。
続いて不利益のほうだが、はじめに問題となるのが、瞑想ができない継続しない人が非常に多いという現実である。心は常に刺激を求める性格を有するが、瞑想時は思いを手放すことが必要となる。このやりがいのなさにまず辟易とするのだろう。それから現実からの疎隔感、実存的な苦悩、これは世俗への価値観の混乱となるものである。
また、白隠禅師も罹患したという禅病。クンダリニー(仙骨から流れ出すエネルギー)障害、シャーマンの巫病もあるということです。
このような障害を乗り越え、正しい禅定が身に着くと、遠離(viveka)という境地、つまり、自分の欲から離れたときに生ずる喜び(piti〈ピーティと、はじめのiは長音になる〉)楽(sukha)のある、第一の禅に達して住むという。
これがさらに進んで、滅尽智を経て解脱に至るということです。
最後におふたりによる対話が行われた。
ブッダは出家してまず、二人のヨーガ行者、仙人を訪ねている。そしてすぐにそれらをマスターしたと伝えられている。そののち、6年の苦行を経て、菩提樹の下で坐禅をし、解脱に至る。このような観点から見れば、仏教の瞑想とヨーガの瞑想での悟りの定義が違うということになるのではないか、という議論が行われた。仏教のニルヴァーナは煩悩を根絶やしにするもので、神との合一、梵我一如を目指すヨーガのそれとは違うということが言えそうだ。
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