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【レポート】Zen2.0 Meet UP! in Tokyo

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4月25日、Zen2.0 MeetUP! in Tokyo「マインドフル」から「コンパッション」へ@東京・紀尾井町に参加してきました。

そもそもマインドフルネスとは、東洋の禅が欧米に伝わり、「気づきの瞑想」として逆輸入されたものです。鎌倉時代の日本の歴史的な「禅」を1.0とすれば、今、われわれが発信すべき「禅」は2.0ということになるでしょう。
この「禅とマインドフルネス」。近いようで異なるような2つの「存在」に関してオープンに対話できるプラットフォームとして「Zen2.0」は企画されました。

まず、今回の“Zen2.0 MeetUP! in Tokyo”では、
「『分断』する世界を鎌倉から『調和』へ」と題し、

・分断から調和へ

・拒絶から承認へ

・無視から慈愛へ

この3つのムーブメントを鎌倉から世界へ発信していく、という高い目標が掲げられました。
昨年9月に開かれた鎌倉での大イベントの振り返りがおこなわれた後、いよいよ「Wisdom2.0」の報告です。このイベントは2010年から毎年、サンフランシスコで開催されている“マインドフルネス”をテーマにした世界的なカンファレンスです。テーマは「デジタル化社会とマインドフルネスの融合」です。

創始者は、俳優リチャード・ギアとダライ・ラマとの共同プロジェクトをディレクトし成功に導いたソレン・ゴードハマーさん。また、グーグルの「サーチ・インサイド・ユアセルフ」を構築したチャディ・メン・タンさんなどの顔ぶれもあります。
「サーチ・インサイド・ユアセルフ」とは「マインドフルネス」をベースにした社内研修プログラムで、トップ頭脳エンジニア集団の間で爆発的な人気を誇っています。そして今ではシリコンバレーをはじめ西海岸を中心とした企業でも、広く取り入れられるようにになっています。

三木康司(みきこうじ)
一般社団法人Zen2.0 共同代表
株式会社enmono代表取締役
リストラ経験を経て自宅で坐禅を始める、中小企業向経営者セミナーを開始、禅の考えに基づいたクラウドファンディングzenmonoを運営。

 

そもそも「マインドフルネス」とは何でしょうか。それは次のように定義されます。

 

今この瞬間の自分の体験に意識を向けて、現実をあるがままに受け入れ、判断や解釈をしない心の状態をいう。

 

そう、今、この瞬間への“気づき”に満ちていることを言うのです。サンスクリット語から中国語(漢文)に訳されるとき、「念」の文字が当てられました。

 

では、マインドフルネスはいったいどんな効果が認められるのでしょうか。

1つには、集中力アップと生産性向上

2つには、不安感の軽減によるストレス耐性の強化

3つには、先入観のない見方による創造力の向上

4つには、思いやりが深まることによる人間関係力の向上

 

仏教の八正道の七支、正しい心持ち・意識(正念)“Right mindfulness”がこれに当たります。

このマインドフルネスを世界に広めた功労者として、ベトナム出身の臨済宗の僧侶・ティク・ナット・ハン師、UCLA医科大学精神科臨床医ダン シーゲル教授などの名が挙げられました。

また、今年のキーワードとして、Compassion(思いやり、慈悲)、 Connect(つながり) 、Somatic(身体性)が掲げられ、目標の確認がなされました。

宍戸幹央(ししどみきお)
一般社団法人Zen2.0 共同代表
鎌倉マインドフルネス・ラボ代表
21世紀学び研究所理事。イノベーションを生み出す”学習する組織”を形成するリーダー育成団AMBITIONERS LABの創立メンバー。個人の可能性の拡大と企業組織の変革の支援を手がける。

 

そして、ヒッピー系コンサルタントの山下悠一氏からは、アメリカで工業化社会によって深刻化した環境問題、ベトナム反戦運動の過程で、人々がどのような生き方をすべきかを追求したヒッピーたちのカウンターカルチャーの解説と、西海岸の宗教と社会事情などの論考が加えられていきました。

山下悠一
早稲田大学理工学部建築学科出身。
生活者主導のレボリューションを牽引するコミュニティプラットフォームNumundoの運営を手がける株式会社REVorgの経営も司る。
REVorg Co-Founder/渋谷の共同組合Ciftメンバー/ヨガサロン青空空間代表/Kamakura Gathering編集部

スティーヴン・マーフィー重松教授は、スタンフォード大学の学生たちの本当の姿、競争社会のなかで必死にもがき、うつや自殺未遂を繰り返す実情に触れられ、少人数で教授を囲み苦しみのシェアが行われている現実が紹介されました。

そのような現状を見ている教授は、単なるウェルビーイング、ストレス軽減法としてマインドフルネスが実践されるだけではもったいない。Compassion(慈悲・慈愛)まで高められる必要があると訴えられました。

まさに、今回のZen2.0 MeetUP! in Tokyoの主題“「マインドフル」から「コンパッション」へ”が現実味をもって参加者全員で確認された瞬間でした。

 

 

スティーヴン・マーフィ重松
日本生まれ。米国で育つ。スタンフォード大学の心理学者。ハーバード大学で心理学の博士号取得。ハーバード大学、東京大学、スタンフォード大学で教鞭をとる。著書に『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』坂井純子訳(講談社)など多数。

 

 

最後のQ&Aでは、アメリカでの企業のマインドフルネスのうねり、あるいは西海岸と他地域での動向などについて質問がなされ、心配りのある丁寧な応答がなされていました。

 

Zen2.0の本年の開催日は9月7日(金)8日(土)9日(日)です。

Zen2.0は教育を視野に入れ、世界からの登壇者の人脈を活用してレジデンスを備えた「マインドフルネス スクール 鎌倉」から、このスクールを母体とした「マインドフルネス ユニヴァーシティ 鎌倉」創立という壮大な未来を描いています。

そして、最終的には「マインドフルネス ネーション ジャパン」構想として、弘前市、鎌倉市、奈良市、京都市、福井市を候補に挙げ、全国を慈悲と慈愛で敷き詰める大きな夢と理想をもち、日々、邁進・精進しているのです。

ダーナネットでは、今後もこの活動を見守っていきます。

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