インタビュー

間違えられた苦の原因 スカトー寺副住職 プラユキ・ナラテボー①

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苦しみには必ず原因がある

ブッダはこの「苦諦」から進んで第二番目の真理、「集諦じったい」を説きます。「集諦」とは、「苦が生じるには原因がある」という真理です。

苦しみには必ず原因があって、今ここで、その結果としての苦しみが生じているということです。 ですから、苦しみの原因を取り除いていけば、その結果として苦しみは滅し尽くされ、真の自由を得ることができるということです。それを、第三番目の真理、苦しみの滅、「滅諦めったい」と言います。
そしてその具体的な方法を第四番目の真理、「道諦どうたい」と呼びます。道というのは方法という意味ですね。ブッダが自らの苦から滅苦に至るまでの修行の過程で発見し、弟子たちに伝えた苦しみからの解放のための方法についての真理。これは八支の道としてまとめられ、「八正道はっしょうどう」と呼ばれていますが、この八項目の正しい統合的実践により智慧が得られ、苦が滅されていくのです。

八正道――苦の滅に導く八つの正しい実践徳目
正見―正しい見解
正思―正しい思惟
正語―正しい言葉
正業―正しい行い
正命―正しい生活
正精進―正しい努力
正念―正しい気づき
正定―正しい心の安定

苦諦は苦しみの認知。そして集諦で苦しみというものの原因を明らかにしていく。そして滅諦、苦しみからの解放というゴールが設定され、それを目指して道諦、ブッダが説き示した八正道を実践していく、これが仏教の体系で、「四聖諦」という教えに凝縮されているわけです。

私たちには日々苦しみが生じてきます。そうした苦しみをただなおざりにしてしまったり、あるいは、闇雲に解決に取り組んでみたりしても、それが理にかなった方法でない限り、苦しみが尽きることはありません。あるいはさらに問題をこじらせてしまうことにもなりましょう。
それゆえに、「四聖諦」をしっかりと理解して、苦しみの解決に向かって賢く歩んで行かれることが大事かと思います。

またこれは縁起観にも対応いたします。
ブッタの説かれた縁起の教えというのは、つぎのような簡潔なに詠まれています。

これが有ればかれが有り」ですね。こうした苦しみの原因があれば、苦しみは生じてくるよ。
「此が無ければ彼が無し」ということで、こんどは原因がなくなれば、苦しみが無くなるといった結果も起こる。そういったことが縁起観でも説かれています。 「此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い。此が生ずれば彼が生じ、此が滅すれば彼が滅す」
繰り返しますが、必ず苦には原因があると仰ったわけです。私たち誰もが苦しみから自由になりたいと思います。そのとき原因をしっかりと正しく認識しないと、その解決のためにちょっとずれたことやってしまって、本当の苦しみの解決に至らないということも少なくありません。

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