インタビュー

苦を滅する道「八正道」 スカトー寺副住職 プラユキ・ナラテボー②

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――苦しみの原因が、目の前にある現実の問題ではなく、それとどういう形で向き合うかだということはよくわかりました。無明や、渇愛、執着の心で向き合うと、苦しみの果実を手にすることになるのですね。その向き合い方ですが、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。

ブッタは、苦しみと苦しみの原因だけを説いたわけではなく、次には苦しみから自由になる可能性まで説いているのです。ここはしっかりと理解すべきところです。具体的にはつぎのような教えがあります。

正しいモノの見方から始まって、正しい考え方ができるようになり、そして正しい言葉を用いて、正しい行いをする。そして、正しい生活を営み、正しく精進して、正しく気づき、正しく心を安定させていく。気づき、観察していくヴィパッサナー瞑想と、心を安定させていくサマタ瞑想とがありますけれど、これら二種類の瞑想修行が「正念」と「正定」にあたるわけです。

そういった修行をしっかりしていけば、無明、渇愛、執着を滅ぼしていくことができるようになる、これがいわゆる「八正道」といわれるものです。
この八正道を正しく実践していくことによって、その結果として苦しみが解消するとブッダは説かれたのです。

八正道――苦の滅に導く八つの正しい実践徳目
正見―正しい見解
正思―正しい思惟
正語―正しい言葉
正業―正しい行い
正命―正しい生活
正精進―正しい努力
正念―正しい気づき
正定―正しい心の安定

このように、四聖諦(苦諦・集諦・滅諦・道諦)という四つの正しい真理をブッタがお悟りになられて、苦しみの生じてくる原理と苦しみが滅していく原理をわかりやすく説かれたのが、仏教の教えです。そして苦を滅するための具体的な方途として、八正道という実践をこまやかに説いているわけです。

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