翻訳家・浦崎雅代さんによるタイ仏教についての連載が始まります。(全4回の1回目)
――浦崎さん。どうぞ、よろしくお願いいたします。 タイに住まれて、今年で10年。タイのテーラヴァーダ仏教の「いま」を情報発信され、通訳、翻訳、そして、日本各地でも講演会や瞑想ワークショプを開かれている浦崎雅代さんに、タイとの馴れ初めを教えていただきたいと思います。
はい。今、タイに住んでおりまして、日本に戻る度に、「マインドフルネス」とか「気づきの瞑想」などが、注目されはじめているという事をすごく感じています。
なぜ私が、タイ仏教の翻訳や紹介活動をするようになったのかを、自己紹介をかねて話したいと思います。
私は、1972年に沖縄で生まれました。その年は、沖縄でビックイベントがあったんです。沖縄の日本復帰の年です。それまではアメリカの占領下にありました。
その復帰の年に生まれた子は、「復帰っ子」って言われています。(敗戦から)復帰の年までの27年間、沖縄は日本の文化から、遅れていると思っていましたから、日本の中心の東京にあこがれがずっとありました。小学校、中学校のときも、「あなたたちは復帰っ子だから。ちゃんと勉強して本土の大学に行けるように」と言い聞かされて育ちました。
ですが、東京で受験した大学に全部落ちてしまって、琉球大学の法文学部法政学部に進学しました。大学に入って、いろいろなボランティア活動に参加をさせていただきました。
1992年3月、大学一年の時にタイにスタディ・ツアーに行く機会がありました。タイのクロントイ・スラムの視察です。3泊4日の行程で、私は初めて海外に行きました。今は、沖縄からタイへは直行便があり、4時間で行けます。けれども、当時は、沖縄、台湾、タイの経路で行きました。そしてその初めての海外に行った時に、大きく自分の先入観がくつがえされる出来事が三つありました。
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