© Red Carpet Moving Pictures
ガンジス河のほとり、聖地バラナシ。そこにはヒンドゥーの教えにしたがい、「輪廻」から脱することを望む人びとが、人生の最期のときをすごす「解脱の家」があります。
主人公の父ダヤは、なんども同じ夢をみます。自身の最期のときが近いことを感じた彼は、聖地バラナシで死にたいと宣言します。大反対の家族。義務感の強い息子のラジーヴはしぶしぶ承諾、仕事を休み、父とタクシーで120キロ離れたバラナシへ向かいます。
バラナシの路地の奥にある小さな宿「解脱の家」に到着した二人は、施設長ミシュラと面談。ミシュラは二人に告げます。「魂とは波だと思っていたのですが、それが海だと気づくのです」。
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父と息子、二人だけの共同生活がはじまります。いっこうに訪れることのない「死」に、ダヤはとまどい苛立ちます。一方、職場の上司からの電話にラジーヴは心ここにあらず。いつしか二人の関係はギクシャクしたものに。
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「聖」と「俗」を呑み込みゆるやかに流れるガンジス河。穏やかな日常生活。ユーモアを交えた「解脱の家」の滞在者との語らい。親子はいつしか、互いに心を開きはじめます。しかし、「解脱の家」は「死を待つ人の家」でもあるのです。
「生」と「死」が混沌とうずまくガンジスに魅入られる人は多い。映画は、そのようなガンジスのイメージをなぞりながら、観客を別のガンジスへいざないます。
死を間近に迎えた父の傍らで、とまどい、悩み、苦しむラジーヴ。映画は、誰にでも訪れる肉親の「死」をテーマに、その悲しみ受け入れ、乗り越えようとする等身大の家族達の姿が描かれています。
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ダヤの「魂」はガンジス河を渡り、無事に海に還ることができたのでしょうか?
ぜひ、多くの方にご覧になっていただきたい映画です。
『ガンジスに還る』は10月27日より、東京・岩波ホールほか全国で順次公開を予定しています。
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【監督・脚本】 シュバシシュ・ブティアニ
【キャスト】 アディル・フセイン、ラリット・ベヘル、ギータンジャリ・クルカルニ、パロミ・ゴーシュ、ナブニンドラ・ベヘル、アニル・ラストーギー
【配給・宣伝】 ビターズ・エンド
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