9月8日と9日の両日、禅とマインドフルネスについての日本初の大規模な国際フォーラム〝Zen2.0〟 第2回が、日本の「禅」発祥の地、鎌倉五山第一の建長寺及び隣接する学校法人鎌倉学園において開催されました。その内容を紹介していきます。
「幸福学」を研究する前野隆司氏
「幸せと利他と世界平和」
前野隆司:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授。著書に『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)、『幸福学×経営学』(内外出版社)、『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。
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前野氏の講座は、「皆さんにとって、幸せとは何ですか?」という問いかけから始まりました。
参加者はそれぞれ「何気ない日常の中に幸せを感じる」「肌感覚で幸せを感じる。たとえばこの会場に吹く心地よい風」など、自分が感じる幸せについて答えます。
それに対し前野氏は、幸せとは英語の「happy」よりも「well being」が近いと解説。「happy」は「happen」(起こる)が語源にあり、何か良いことが起きなければ感じることができません。それに対し「well being」は心が安定し、満足している状態です。こうした心の状態を「幸せ」と捉え、「幸せ」を作るベースとなるものは何かを語りました。
この日の結論はズバリ「自分を愛し、人を愛すること」です。
前野氏は内閣府のデータを紹介しました。それによると、ボランティア活動やPTA活動など、社会的な課題を解決する活動に意欲を持っている人ほど、幸福度が高いことがわかっています。おもしろいことに、「意欲はあるが、行動にはうつしていない」という人も、「関心がない」という人より幸福度が高いのです。さらに、自発的にではなく、実験として「20ドルを他人のために使ってください」と言われて実行した人も、幸福度が上がりました。
「一日一善という言葉があります。仏教でも利他行をすすめますね。こうした考え方には根拠がある。形からでいいのです。一日にひとつ、いいことをする。これはおすすめします」
自分を愛し、みんなを愛しながらのぼっていく「幸せの階段」
続いて前野氏は、「幸せの階段」の図を示しました。右の軸が「自分を愛する」。上の軸が「みんなを愛する」。「幸せになる」ということは、この階段をのぼっていくイメージで捉えることができます。
「自分のことばかり考えている人は、もう少しみんなのことを考えると幸せになれます。自分を卑下している人は、もっと自分を愛することで幸せになります。僕自身の印象では、結構のぼってきたつもりでも、まだ上がある。先を行く人がえらいのではありません。みんな階段をのぼっているんだなと思います。今、自分はどのあたりにいるかな、かたよっていないかなと、楽しみながら歩んでいただきたいです。自分が成長することで、人を愛する力も増していきます。人生は、自分を愛し、世界を愛する旅なんだなと思っています」
最後に、ジョン・レノンの名曲「imagine」の歌詞を、参加者と一緒に味わいました。
Imagine all the people さあ想像してごらん みんなが
Living life in peace ただ平和に生きているって…
前野氏のおすすめは、レディー・ガガが歌う「imagine」とのことです。
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