ワークショップハウス「ゆとり家」を主宰し、ティク・ナット・ハンが創設したプラムヴィレッジ正会員として、マインドフルネスを日本に広める島田啓介氏。1995年にティク・ナット・ハンの来日ツアーの世話人の一人として活躍し、日本のマインドフルネス黎明期でその発展に尽力。現在は精神福祉士やカウンセラーとして、マインドフルネスの手法を生かしたワークショップを展開、指導に当たっている。
このインタビューでは、今まであまり顧られることのなかったティク・ナット・ハン師「気づきの瞑想」日本上陸の経緯や、マインドフルネスとともに歩んだ氏の青春時代、そして現在、「ゆとり家」の活動の様子などを5回にわたって語ってもらう。今回は、その3回目。
「ゆとり家」の居間。瞑想会の会場ともなる
――〝私という重荷〟を下ろすことが、マインドフルネスなのだということを、以前、島田さんから教えていただきました。この、〝私〟〝自我〟が重荷になったとき、何が起こるのか、ご自身の経験から教えていただけますか。
はい。これは『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』(ティク・ナット・ハン著/島田啓介訳 野草社)という本にも書いてあります。そこから紹介したいと思います。すごく象徴的な例です。
ティク・ナット・ハンという方は、ベトナムで生まれてベトナムで修行した方です。ベトナムは地理的に、大乗仏教とテーラワーダ仏教が出会う位置にあります。南北両方から仏教が入ってきているわけですよ。
ヴィパッサナーと一口にいうけど、ミャンマーやスリランカからやって来る南方系のテーラワーダ仏教の伝統もあるのだけれども、ベトナムはちょうど中国の南隣なので、中国から大乗である禅などもどんどん入ってきている。それらがミックスしているのです。
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