いつの日か、あの地へ
徳恩寺の霊園内で、変わらぬほほえみを浮かべて立つ寿地蔵
今、寿地蔵は、徳恩寺の霊園で、所縁深い融照先代住職が眠る墓所に立つ。傍らの小さなお地蔵さんは、誰かが寿町に置いていったものだという。
徳恩寺への移転は2016年3月。その前年、お地蔵さんがいらしたセンターを取り壊し、横浜市住宅供給公社による高層公営アパート『寿町スカイハイツ』の建設が決まったからだった。
実はこの移転の現場でも、予想外のことが起こったと融完師。
「移設するので、石屋さん2名ぐらいを連れて、4トントラックに乗って行ったんですよ。建立のときは夜中にこっそり行ったけど、今度は昼間、大手を振って(笑)。
そうしたら、町の人が30人近く集まってくれて。みんな元土木作業員だから〝この作業、オレは得意だからオレがやる〟とか言って、手際がいいこと、いいこと(笑)。朝の9時に行って供養して、昼前には(移転工事が)終わっちゃった」
融完師は、そういって顔を崩す。
新しい寿町スカイハイツの建設前青写真には、「寿町供養塔」の名称で、寿地蔵のスペースが用意されている。
完成の暁、おそらくこの夏にも、寿地蔵はふるさととも言える寿町へ帰る予定であるという。
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