インタビュー

前野隆司さんインタビュー② 〝信頼とワクワク〟から始めよう

聞き手=千羽ひとみ(フリーランスライター)
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〝信頼とワクワク〟がある職場からアイデアが生まれる

「ありがとう」でコミュニケーションを深めて信頼関係を構築し、ワクワクする環境を作る。そうやって『幸せ企業』の土台が築けると、その企業ならではの個性を作り出すことが出来ます。

こうした職場は、さまざまなことにチャレンジできる職場です。新しいアイデアや斬新な事業計画が飛び出してくることも少なくありません。信頼し、信頼され、ワクワクできる職場環境は働く人に自信を与え、「やってみよう」とみんなが成長することを推奨する職場だからです。

ですから今日からぜひ「ありがとう」を始めてください。「心の中では思っています」という人が多いですけど、思っているだけではダメなんです。「照れちゃって言えませんよ」という人も多いですけど、こういう人は感謝の度合いが小さいんです、きっと(笑)。
なにをしてもらっても感謝です。まず今日、帰宅して、パートナーや家族に「ありがとう」を言うところから始めて下さい。

──「〝ありがとう〟でいいならできる」。そう思われた読者も多いのではないでしょうか?

でしたら、ぜひ今日から始めて下さい。今回、それぞれ個性的な7つの『幸せ企業』を紹介しましたが、すべての企業が最初から『幸せ企業』だったわけでも、個性的だったわけではありません。

かつてはブラックだった企業も、どこかで「これはおかしい」「変わらなくては」と思い立ち、コミュニケーションを深めることの大切さに気がつき、ワクワクできる環境を作り出しました。それぞれの道のりにそれぞれの苦労はあったものの、障害者雇用や前科のある人の雇用、環境重視の産業廃棄物処理などなど、いろいろなことにチャレンジできる企業に変わることができたんです。

ですからぜひとも勇気を出して、一歩を踏み出してもらいたいと思います。本書を読んで、「いい話だったなあ」で終わっていただきたくないですね。

(次回へ続く)

〈書籍情報〉
幸せ企業のひみつ 〝社員ファースト〟を実現した7社のストーリー
編著者:前野隆司 著者:千羽ひとみ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,400円+税
発行日:2019年7月30日発行
前野隆司
まえの たかし:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。1962年、山口県生まれ。東京工業大学卒、同大学修士課程修了。キャノン入社後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学理工学部教授等を経て、2008年より現職。博士(工学)。研究領域は幸福学、システムデザイン・マネジメント学、イノベーション教育と幅広い。著書に、『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)、『システム×デザイン思考で世界を変える』(日経BP社)、『実践ポジティブ心理学』(PHP新書)、『幸福学×経営学』(内外出版社)、『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。
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