悩み相談

「自分の思いを言葉にできず悩んでいます」 答える人:プラユキ・ナラテボー

プラユキ・ナラテボー師
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【編集部注】「仏教的カウンセリング」では当ダーナネット編集部が公募した「悩み相談」に解答をしていただいております。ご相談者の許可のもと編集の上で掲載しています。ご本人の希望で名前は匿名とさせていただきます。
私は、小さい頃から人の前で意見を言ったり、発表するのが本当に苦手です。
慣れている友達や親、親しい人などなら全然問題ないのですが、例えば、会社の上司や学校の先生、実習の指導者と言った目上の立場の人や全く知らない人の前になると、自分が思っていることがあってもうまく言葉にできず、しまいには泣き出してしまいます。
今、とあるところで実習をしてるんですけど、一昨日も自分の考えがうまく言えず、泣き出してしまって、すごくへこみました。「自分はなんでこんなに変わられないんだろう」「やっぱり自分は何にも変わらないただの弱虫なのか」と思うことばかりです。自分の意思がないより、むしろ考えてることが色々あってあれこれ言いたいんです。でも、相手にどうやったら伝わりやすいのかをすごく考えてしまって、言葉が出てこなくて詰まってしまいます。そういう時、気分がすごく落ちてしまって、自暴自棄にまでなってしまいます。
せめて泣かないで、ゆっくりでもいいから伝えられる方法、もしくは自暴自棄にならない方法を教えてください。

質問者:ankさん

「そんなわけで、ankさんにもぜひ瞑想を試してもらえたらと思います」by ナラテボー
作画・鈴木勝美(ざぼん)

ankさんのお悩み、よくわかる気がします。なぜなら私自身、今でこそ大勢の人を前にした講演会でも緊張せずに話せ、定期的に開催している個人面談でも初対面の人と打ち解けて話せるようになりましたが、もともと人と話すのがとても苦手なタイプだったからです。

それゆえ、ankさんのような人にはとても共感できますし、ぜひこの課題を克服されて、初対面の人とも楽しく会話を弾ませられ、人前でも自分の意見を臆せずに発言できるようになっていただきたいと思います。

そのためには、自分の性質を知ることが大切です。私やankさんのようなタイプの人は、「内向性」や「繊細さ」といった性質を持っています。こうした性質はもちろん悪いものではありませんが、こうした性質を生かしていけないと、とても生きづらくなります。私も以前は、自分の性質を否定的に捉え、自分とは逆の外向的で、行動家タイプの人をとても羨ましく思っていました。

私の場合、タイで出家したことが転機になりました。それまで否定的だった内向性や繊細さという性質が、瞑想実践において、大きな力を発揮してくれることがわかりました。なぜなら瞑想は、自らの内面と向き合う作業であり、また、デリケートな心に対応していく技術ゆえに、内向性と繊細さという持ち前の性質が思う存分に生かされたからです。

瞑想に熟達するに連れ、心のプロセスや構造についての理解が深まり、自分の心を次第にコントロールできるようになりました。初対面の人に会っても、落ち着いて自分の気持ちや意見を伝えられるようにもなりました。そんな感じで、自信もどんどんついていきました。

そんなわけで、ankさんにもぜひ瞑想を試してもらえたらと思います。正しくトレーニングを積めば、誰でも自分の心をコントロールできるようになりますよ。私とタイプの似たankさんのような人には、ぜひ手動瞑想(https://dananet.jp/?p=6263)をお勧めしたいです。

なぜ手動瞑想が効果あるのかを簡単に説明しておきますね。

例えば、「目上の立場の人や全く知らない人の前になると、自分が思っていることがあってもうまく言葉にできない」とのことですが、これは「うまく言葉にしたい」「相手によく見てもらいたい」という気持ちが募り、逆に緊張してしまっているのです。手動瞑想をするとオープンハートになって、緊張がほどけ、自然に言葉が出てくるようになります。

また、自分の考えがうまく言えずにへこんで、「やっぱり自分は何にも変わらないただの弱虫なのかと思う」とありましたが、これは過ぎ去った過去にとらわれて「後悔」という思考アクションを起こし、「私は弱虫である」という自己イメージを描き、そうした自己イメージに対して自暴自棄になっていたのです。

瞑想をしていくと、こうした無駄な思考アクションやイメージを描いて消耗することがなくなり、シンプルに前向きに、理にかなったやり方で、なりたい自分になっていくことができるようになります。

もしご都合がつけば、ぜひ私の瞑想会にもお越しいただければと思います。また、個人面談はスカイプでもOKです。瞑想会や個人面談会情報については、「よき縁ネット」(https://blog.goo.ne.jp/yokienn)に告知してあります。

ankさんが一日も早く心楽しく、会話や意見発表できるようになりますように。
応援しています!

プラユキ・ナラテボー

プラユキ・ナラテボー
1962年、埼玉県生まれ。上智大学哲学科卒業。大学在学中よりボランティアやNGO活動に深く関わる。
タイのチュラロンコン大学大学院に留学し、農村開発におけるタイ僧侶の役割を研究。1988年、瞑想指導者として有名なルアンポー・カムキアン師のもとにて出家。以後、自身の修行のかたわら、村人のために物心両面の幸せをめざす開発僧として活動。またブッダの教えをベースにした心理療法的アプローチにも取り組み、医師や看護師、理学療養士など医療従事者のためのリトリート(瞑想合宿)がスカトー寺で定期的に開催されている。
近年は、心や身体に問題を抱えた人や、自己を見つめたいとスカトー寺を訪れる日本人も増え、ブッダの教えをもとにしたサポートを行っている。日本にも毎年招かれ、各地の大学や寺院での講演、ワークショップから、有志による瞑想会まで、盛況のうちに開催されている。

プラユキ・ナラテボー師 よき縁ネット https://blog.goo.ne.jp/yokienn
〈書籍情報〉
「気づきの瞑想」を生きる タイで出家した日本人僧の物語
著者:プラユキ・ナラテボー
出版社:佼成出版社
定価:本体1,800円+税
発行日:2009年8月
〈書籍情報〉
「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方
著者:カンポン・トーンブンヌム
監訳:プラユキ・ナラテボー
出版社:佼成出版社
定価:本体1,400円+税
発行日:2007年11月
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