その時代においては、この托鉢の実践はたいへんな行為であり、ときには非難されたかもしれません。
でも、町の人たちは、お坊さんたちがちゃんと清浄な修行をしていることを理解しており、自分たちがつくった食べ物を、ありがたく食べてくれると、尊敬していたと思います。
お釈迦さまは、晩年になって故郷を目指して、数人の弟子を連れて旅立たれます。
バイシャリーでは、アンバパリーという遊女から食事の招待を受けます。
お釈迦さまは、遊女だからといって食事の招待を断ることなく、出かけたのです。
また、クシナガラの近くで、チュンダという鍛冶屋の食事の招待を受けます。
チュンダの出した食事は、腐敗していたか毒のキノコが入っていたのでした。
それでも、お釈迦さまはありがたくいただいたのです。
しかし、そのことによってお釈迦さまは重い病にかかり、やがて死に至ります。
このように、カーストも、職業も、いっさい関係ない、真の平等ということを、お釈迦さま自身が実践してみせたのです。
マルカス
アサヒトラベルサービス代表取締役・SBI大学院大学講師
インド・デリー生まれ。インド国立デリー大学卒。アサヒトラベルサービス設立。立川談志に入門し、立川談デリーとしても活躍。インド料理店・ブカラをオープン。著書に『インド流!マルカスが紹介するお釈迦様の国』(サンガ)。
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