インタビュー

光あれば影あり。影を乗り越える勇気 建築家・安藤忠雄

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興味をもって見ると面白いことだらけ

東京ミッドタウンにある「21_21 DESIGN SIGHT」。

東京ミッドタウンにある「21_21 DESIGN SIGHT」。日本のデザインの拠点となる施設

―――動くとは、何かにチャレンジするということでしょうか?
ほんとうはね、どう生きるかを30代、40代のときに考えなくてはいけないんです。生きる糧をお金に見いだす価値観から、文化に求める価値観へとシフトしていかなければならない。

僕が建築の仕事をしてきてありがたいと思うのは、たとえばヨーロッパに行って、伝統ある都市の秩序あるたたずまいに感動する。建物を見て面白いと思う。また、レストランに行っても、椅子のデザインや飾られている絵に興味を覚える。つまり食器一つにも関心をもって見るから、感動がたくさんあるんです。
文化、芸術は人間を豊かにします。そうしたものに積極的に触れていくことが大事だと思うんです。

以前、司馬遼太郎の『街道をゆく オランダ紀行』を読んだのですが、画家のレンブラントやゴッホのことが書いてあって、ゴッホとはこういう男かと、大変興味をもった。興味もったら、そのことをもっと調べる。本を通して人間や社会を積極的に面白がっていくと、人生は楽しいことだらけですよ。

定年を迎えてからでも間に合います。それにはまず歩くことですね。外に出て目にしたものに興味を示す。また、人は歩くと考えるもので、歩きながら「このあと何ができるか」と考えると、答えはおのずと見つかっていくものです。僕のまわりの人も、あちこちの神社仏閣の写真を撮りに行ったり、山に登ったりしています。そうすると体力もつくし。

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