インタビュー

漫画家・タレント蛭子能収 自立が最優先。だって自由になれますから

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ブレない軸があるから振り回されない

――自立して、一人ぼっちで生きることが自由そのものと言えそうですね。

ですから、生きる糧となる仕事を真面目にやり、仕事の邪魔をするような友だちはつくらない。マージャンに誘われても「この仕事が終わらないと行けない」と僕はきっぱり断りますよ(笑)。

人間が生きる上で重要なのは、自由な時間だと僕は思っています。誰にも邪魔をされず、自分がこうしたいと思うことを実際にやれるって楽しいですよね。働き始めた僕にとって、そんな時間は泣けるほどの喜びでした。

いまでもそうですが、働いてお金を稼いでこそ、誰に憚ることのない自由な時間を得られると思うんです。自分が自由でいたいわけですから、相手の自由を奪うなんて考えられません。自由であるためには、他人の自由も尊重しないといけないのは当然です。その点を尊重し合わないでいると、いつか自分の自由も脅かされてしまうような気がしています。人それぞれライフスタイルも違いますから、遊びに行こうと誘われても断わることのできる間柄がほんとうの友だちだと思っています。

――論語の本も最近出版されたんですね。驚きました。

最初は、「ロンゴって何?」って感じだったんです。ところが編集者さんにも手伝ってもらって読み始めると、孔子さんの言葉にうなずくことしきりでした。お釈迦さんやキリストさんと並んで、世界に名だたる偉人の一人である孔子さんの言葉に共感することが多く、心強いかぎりです。

2500年前の中国人も現代の日本人も、そんなに変わらないんだということが、僕にとって大きな発見でした。いまの時代は情報過多で、誰かがこう言ったとか、誰々さんはこうしているとか、何かと翻弄されることが多いじゃないですか。

だからその場限りの雑多な情報や煩雑な人間関係は横に置いて、太古の昔からいまに至るまで脈々と読み継がれてきた普遍的な「言葉」に学びながら、揺るがない軸を一人ぼっちでつくりだすことが大事だと思います。ひょっとするとそれが、揺るがない自分と自信を手に入れるいちばんの近道かもしれない。

人間の自信というものは、その人が所属する集団から生まれるのではなく、あくまでもその人自身の技量や性格、経験から生まれるのかなって感じます。そこを見誤ってはいけないと思いますね。

漫画家・タレント
蛭子能収(えびす よしかず)
1947年、長崎県出身。長崎商業高校卒業後、看板店、ちり紙交換、清掃用品配達などの職業を経て、33歳で漫画家になる。劇団「東京乾電池」のポスターを手掛けたことをきっかけにテレビ出演。以後、タレントや俳優としても活躍中。著書に『ひとりぼっちを笑うな』『蛭子能収のゆるゆる人生相談』『蛭子の論語――自由に生きるためのヒント』など。
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