また昔の日本は、近隣の人達と心を通わせていく文化がありました。
何かあれば、家族や親戚、隣近所の人が手伝いました。田んぼでも、お互いの田んぼを助けました。互いに助け合っていかないと、何もできませんでした。
ところが現代の日本は、そうした心が失われてしまったようです。
インド人の私から見て、日本社会はまことにせかせかして、心を二の次にした忙しい社会と映ります。
すべてがシステムのように作られています。あいさつやら儀式やら、決められたように効率よく動いていきます。
けれども残念なことに、そこにもっとも大切な心、気持ちが入っていません。結婚式やお葬式、さまざまな贈り物にしても、形にこだわっていて、そこに大切な気持ちが入っていないように思われます。
日本社会は、中身よりもパッケージのほうを大切にしていく文化になっているように思います。
どんなものを着ているか、どんな肩書きか、そんなことよりも大切なのは「心」でしょう。
日本は、そういう「心」を大切にする文化だったと思います。
すべてに神が宿り、あの世から先祖が見守ってくれている。そして、家族や親戚や近隣の人達と、心を通わせて暮らしていく。
こうした、日本人が元々もっていた心は、とても大切な宝だと思います。
アサヒトラベルサービス代表取締役・SBI大学院大学講師
マルカス
インド・デリー生まれ。インド国立デリー大学卒。アサヒトラベルサービス設立。立川談志に入門し、立川談デリーとしても活躍。インド料理店・ブカラをオープン。著書に『インド流!マルカスが紹介するお釈迦様の国』(サンガ)。
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