釈迦出産の前にマーヤー夫人が沐浴した池と菩提樹
右の脇からふつう赤ん坊は生まれませんね。どうして、このような伝説があるかというと、古代のインドでは、この体を四つの部分に分けています。
頭はバラモン、手や胸はクシャトリア、おなかはバイシャ、足はスードラという階層を表します。
頭から生まれたときにはバラモン、足から生まれときには、スードラの階層に生まれたということを表しているのです。右の脇ということは、お釈迦さまのカーストであるクシャトリアを表しているわけです。
赤ん坊は、生まれてすぐに七歩あるいて、
「天上天下唯我独尊」
と言ったと伝えられています。
どうして7歩あるいたのでしょうか。
古代インドでは、人は輪廻転生すると考えられていました。死後、無に帰するのではなくて、転生する。転生するときには、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天に生まれる。
そして、この六種類の世界(六道)を延々と繰り返す(輪廻する)。この六道は苦しみの世界であり、そこから脱することはできないのだと考えられていました。
この六道を脱することが究極的な幸せであり、それが魂の目的なんですね。
そうして、人間に生を受けたときにだけ、修行によって六道から脱することができるのです。
お釈迦さまは、この六道からはじめて脱した人、解脱した人なのです。だから、七歩あるいたというのは、迷い苦しみの世界を脱した人ということを表しているのです。
マルカス
アサヒトラベルサービス代表取締役・SBI大学院大学講師
インド・デリー生まれ。インド国立デリー大学卒。アサヒトラベルサービス設立。立川談志に入門し、立川談デリーとしても活躍。インド料理店・ブカラをオープン。著書に『インド流!マルカスが紹介するお釈迦様の国』(サンガ)。
1 2