いま必要な情報を
情報過多の時代では、何かを実現するために情報を集めると迷うことはありません。
私はまず企画を立てるときに青写真を描きます。そのために情報を集める。目的を実現するために情報を集めるんですね。
あとはPRして集まってくれた人たちが喜んでもらえるように取り組むだけ。
ベタな言い方だとビジョンをもちましょうということです。でも、長期的なビジョンを立てる必要はありません。
いまやるべきことを一生懸命やることがビジョンなんですよ。それしかない。そのために必要な情報を集める。
コーヒーを入れるのが苦手だったら、おいしく入れる情報を集める。そのくらいでいいんです。
なぜなら、一寸先は闇だからです。
1995年、私は阪神・淡路大震災を経験しました。当たり前だったことが一転して一切通用しなくなりました。お金なんかもっていても、何の役にも立ちません。
飲み物も食べ物も手に入らず、ビール工場の水を分けていただいたとき、どんなにありがたかったか。お金や物だけでは成り立たない世界を教えてもらいました。もちろんお金や物は大事です。でもそれに執着することはない。人間のつくり出した常識なんてもろいものです。
周りの人に合わせたものではなく、いま自分が何をしたくて、何が必要なのか。そのために情報は活用するべきだと思います。
京都府生まれ。PRプロデューサー。大手広告代理店勤務を経て、89年、PR専門事務所TMオフィスを設立。92年、法人化。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員、関西大学社会学部広報論講師を務める。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを数多く手がける。著書に『ブームをつくる――人がみずから動く仕組み』『売れないものを売るズラしの手法』など。
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