「失敗」を「失敗に終わらせない」6つの思考法 臨床心理士・菅野泰三

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(画像・AdobeStock)

4.失敗にとらわれず、光の面も見る

失敗したからといって、すべてが悪い方向に転ぶとは限らないものです。
私の知人のAさんは、仕事に失敗して減給処分となり、たいへんなショックを受けていました。
ところがAさんの奥さんは、「パートに出て生活費を工面する」と言い、大学生の息子さんは、「学費は自分で稼ぐ」と言ってくれたそうなのです。
Aさんは、仕事で失敗しましたが、それによって家族の絆がより強まったわけです。
物事には、両面があって陰(マイナス)の部分もあれば、光(プラス)の部分も必ずあるものです。
失敗したことばかりにとらわれず、光の面もちゃんと見てみましょう。物事に対するとらえ方次第で、心を切り替えることができるのです。

5.対応次第でピンチをチャンスに

「失敗そのものは、ほんとうの失敗ではない」と言っても過言ではありません。
むしろ失敗の事後処理をどうするのかが重要になってくるのです。
事後の対応をおろそかにしてしまうと、信頼がさらに失墜し、失敗がほんとうの失敗になってしまいます。
誠意を尽くしてお詫びをする、また、失敗の原因を受け入れ、今後の対策を講じるなど、きちんと事後の対応に当たれば、信頼も回復され、失敗から多くのことを学ぶことができます。
失敗したあとの対応次第で、事態がより良い方向へ向かうこともあるのです。
失敗に対して、その人がどのような姿勢や態度をとるのかを、周囲はちゃんと見ているものです。ピンチをチャンスに変えていきましょう。

6.リスクマネジメントで腹構え

物事に取り組む際、成功するための手立てを具体的に考えることは大切です。
同時に、万が一失敗してしまったときのことも想定して、最悪の事態に陥ったときの対処法までも、きちんと考えておきましょう。
そうすることで、物事に着手するとき、どのような結果になっても、それらを受け入れるための腹構えができてきます。
念入りにリスクマネジメント(危機管理)をしておけば、たとえ失敗しても、最悪の事態までには至らないものです。

臨床心理士
菅野泰三(すがの たいぞう)

1953年、東京都生まれ。学習院大学卒業。大学やクリニックなどの臨床心理士を経て、カウンセリングを社会に定着させることを目的とした、東京カウンセリングセンターを96年に設立。現在、同センター所長。『読むだけでカウンセリング――こころをスッキリさせる82のヒント』、『ミッション・カウンセリング――提案する面接』など著書多数。

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