今回のテーマは、「フットケア」(爪のケア)についてです。
つい見落とされがちになるテーマですが、「介護の一歩は足から」といっても過言ではないほど、私のクリニックでは、在宅診療の現場で、まず最初にチェックしています。その理由は、高齢者が足にトラブルを抱えることは、即、寝たきりの生活にも直結し、介護を担う家族にとっても大きな負担につながるからです。
たかが水虫、されど水虫
認知症患者の場合でも、歩行困難の原因となる代表的な足の病気は水虫です。
水虫は、白癬菌(はくせんきん)が寄生して起こる皮膚病です。その白癬菌は足の爪に感染することもあり(爪水虫=爪白癬)、それによって変形してしまった爪を放ったらかしにしていると、歩行困難になるだけではなく、丹毒や蜂窩織炎(ほうかしきえん)の発症にもつながります。このケースは、最悪の場合、足の組織の細胞が死んで腐る壊疽(えそ)状態になってしまいます。たかが水虫と軽視していると、取り返しのつかない危険があります。
イラスト1
高齢者の皮膚は、たとえるならば餅と一緒で、硬くなってカビが生えてきます。そうならないためには、やはり日ごろから足の状態を確認しながらケアすることが大切なのです。