インタビュー

苦を滅する道「八正道」 スカトー寺副住職 プラユキ・ナラテボー②

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苦しみからの自由

ブッタはまず自分で体験して、心を精査して、それで苦しみへ行く道があり、一方で苦しみから自由になっていく道があるというマップを発見して、それに基づいてすごく精密で、実効力のある具体的な教えを説いたのです。

ブッダの提示した詳細な地図をよく読んで、ちゃんとその道を自分の足で歩んでいけば、誰でもが自ずとブッダと同様の正しい見方ができるようになるし、目的地である苦しみからの自由を実現できるというわけです。

こういう話を聞くと、まずは、ブッダのマップを信頼してみよう。ブッタの見た世界と苦しみから自由になっていく道を歩んでみようというか。まあ、そんな感じになりますよね。
ということで、次回はもっと詳しく、瞑想的な観点から十二因縁を説明したいと思います。

――ありがとうございます。ところで第1回目のお話で、過去世の業は、縁にはなるけれども、因にはならない。というお話がありました。それは条件としてあっても、今ここで、どのように取り組むかによって、出て来た現象に苦しまずに、自由でいられる可能性がある、ということなのでしょうか。

はい、その通りです。当時、バラモンによって説かれインドに流通していたカルマ論は、過去世のせいで苦しむといった説ですが、ブッタは前回言ったように、宿命論に対しては、しっかりと否定しているわけです。
わたしとしてはそのあたりのことをちゃんと理解していただきたくて、例えば、「『宿命』は『宿る命』。◯◯家の長男に生まれるといったことは変えようのないことだよね。でも一方、『運命』は『運ぶ命』。授かった命をどのように運んで行くかはあなた次第。仏教は、宿命(生まれ)によって人生は決まるとした『宿命論』を否定し、自らの努力次第で誰もが良い人生を歩んでいけるという『運命論』の立場に立っているんだよ」などと説明しています。

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