テクノロジーからライフスタイルまで幅広く執筆をしている著者によるこれからの長寿社会をしなやかに生きるための提案です。
現在はいろいろな価値観がシフトしている時代です。人工知能に職を奪われるのでは? 安定を第一とした職業観がゆらぎ、非正規雇用や転職が一般化しています。また、新卒一括採用といった画一性からアメリカ的な流動した雇用形態となりつつあります。加えて超高齢化社会を迎え、年金支給年齢の引上げやその支給額だけで安定した老後を過ごす展望も難しくなっています。
経済的に右肩上がりだった20世紀的な働き方・生き方のロールモデルに流行性がなくなり、かといって21世紀的な新しい働き方・生き方が、まだ広く支持されてはいません。今のところ先端的な生き方の模索がなされている状態です。
そこで著者は「広く弱くつながって生きる」ことの有用性を説きます。会社の人間関係や家族といった「強い」つながりではなく、身近なところでは地域コミュニティでのボランティアやサークル活動に積極的に参加する。 ネットで見つけたイベントに参加し、出会った人とフェイスブックでつながる。Uターン・Iターンをする人向けのゲストハウスを利用して、他拠点に生活の場を設けて地元の人とつながるなど、著者の豊富な人生経験をもとに実地に落とし込んだ具体例を紹介しています。
「広く弱い」人のつながりが将来を生きていくためのセーフティネットとなる。読後に希望をもてる内容となっています。
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