ブックレビュー

【書評】日本電産 永守重信が社員に言い続けた仕事の勝ち方 著:田村賢司

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物事の成否は、やる気で決まる。成功するには「泣かない、逃げない、やめない」で自分を信じ、自分に打ち勝つことである……こうした根性論のような言葉が綴られた本書が、サービス残業、過重労働、パワハラなど労働者の権利が叫ばれている今、版を重ねている。

「死力を尽くしたか」「休みたければ(仕事を)辞めろ」「損を取り戻すまで仕事をしろ」。日本電産株式会社を創業し、わずか45年で世界一の総合モーターメーカーに育てあげた男、永守重信の言葉である。綴られた100の言葉には辛辣なものも目立つ。日経ビジネス主任編集委員の田村賢司さんが20年にわたり取材を重ね、まとめた永守の言行録が本書だ。

創業当初、弱音を吐いている社員を見つければ、大声で「できる」と100回言わせて鼓舞させた。買収した企業の再建にあたっては、1円以上のすべての備品の購入時に稟議書の提出を義務付け、自ら目を通してコメントを書き込んでいる。働くために好きな酒を断ち、一日の16時間を仕事に当てる。まさに、企業戦士である。

本書では、会社の成長のためにはどんな無理難題も引き受けてきた気骨のある経営者・永守が、「仕事と情熱」「人と組織」「教育と成長」「上司と部下」「経営者と志」「変化と創造」の6つのテーマで気炎を吐く。自らを奇人、変人だという永守の厳しい指導に耐えられず、辞めていった社員も多い。会社の成長を第一に考える永守の言葉は、仕事に創意工夫を凝らし、その先に喜びを見出せる人にこそ響くのだろう。

 

〈書籍情報〉
決定版 日本電産 永守重信が社員に言い続けた仕事の勝ち方
著者:田村賢司
出版社:日経BP社
定価:本体1,500円+税
発行日:2017年11月20日発行
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