インタビュー

Thai Life: タイで見つけた気づきの生活(1)

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初めてのバンコク

私は先進国の人間だと思って行ったんですけど、タイの首都バンコクは、めちゃめちゃ都会だったんです。私たちは先進国の人間、沖縄は先進国の日本だと思っていたのに、タイはもっと発展しているように見えました。当時はまだ、沖縄にはなかった日本企業の有名スーパーが既にバンコクにありました。それで、国の発展ってなんなんだろう?勉強したものと、実際に現地に行って感じる感覚が違うことに驚きました。

もう一つが、お坊さんの姿だったんです。タイに行くまえにいろいろ調べものをしたのですが、タイの国民は95%が仏教徒だと言うのです。そして、タイに着いて、バンコクのホテルに着きました。翌朝、ホテルの部屋から下を覗くと、サフラン色の袈裟を着たお坊さんがトコトコと歩いてくるわけです。

そしてお店の前や民家の前で、人々が待っていて、ご飯を捧げます。そしてお坊さんが、立ったままご飯をいただきちょっとお経を唱えて、また、トコトコトコと歩いていく。それ見たときに、2500年前、あるいは、お釈迦さまが生まれた時にタイムスリップしたのかと見まごうような光景に驚きました。

最後の一つは、95%以上の人が仏教徒ということなので、慎ましやかで、落ち着いているすごく静かな国民性をイメージしていたんです。ホテルについて、テレビを点けたら、ジャニーズ軍団みたいな人達がコンサートをしていて、若い人達が熱狂している場面があったんです。

それを見て、若い人達はどういう信仰をしているのだろうと思いました。でも当時、その疑問を誰に聞いたら良いかわからなかったんです。

(画像・スカトー寺のfacebookより)

自分の進むべき路

この3泊4日のツアーに行ったすぐ後に、琉球大学に、タイのことを研究している先生 が新しく赴任されたと聞きました。その鈴木規之先生がタイの経済発展の問題と開発僧(かいはつそう)と言われるお坊さんの研究をしていたんです。まさに私にドンピシャの興味関心の対象を研究している先生にお会いする事ができました。

そして、鈴木先生の後について、タイの開発僧の研究を始めました。仏教の有り様というのが、これまで私が学んできた仏教とはちょっと違うということをすごく感じました。

袈裟を着たお坊さんたちが、町や村のどこにでもいる。私が驚いた光景がタイでの托鉢でした。在家の方から食事をそのままいただく。日本で托鉢僧と言うと、お坊さんが駅に立って、チャリーンと錫杖を鳴らして待っているイメージですが、タイの托鉢は、お坊さんが裸足で歩きます。その歩いている時に、お布施をする人たちがいたら、そこで止まって、お布施を頂くのです。お金の場合もありますけれど、朝は実際食べるものの方が多いです。

仏教の源流と言うのは、元々こういうことだったんだということを、タイで私は知ったのです。

 

翻訳家
浦崎雅代

1972年、沖縄県生まれ。東京工業大学大学院博士課程修了。大学在学中からタイ仏教や開発僧について研究し、その後タイのチュラロンコン大学に留学した。現在はタイ東北部ナコンラーチャシーマー県でタイ人の夫と息子の3人で生活している。タイ仏教に関する翻訳や「気づきの瞑想」指導、講演を日本でも数多く開催している。note(https://note.mu/urasakimasayo)にて毎朝タイ仏教の説法を翻訳し発信している。

 

〈書籍情報〉
いのちの最後の授業
著者:カンポン・トーンブンヌム
訳:浦崎雅代
出版社:サンガ
定価:本体1,500円+税
発行日:2018年6月
〈書籍情報〉
「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方
著者:カンポン・トーンブンヌム
訳:浦崎雅代
監訳:プラユキ・ナラテボー
出版社:佼成出版社
定価:本体1,400円+税
発行日:2007年11月
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