タイの開発僧研究
大学院に進学し、かねてよりの準備が整い、タイのチュラロンコン大学に留学しました。バンコクに住みながら、週末はスカトー寺に行くという生活の始まりです。村の人達との関係を築きながらの研究生活でした。お坊さまたちの活動を観察するうちに、活動だけではない何かが違うなということを感じはじめました。
スカトー寺のお坊さまは、活動をやればやるほど、軽やかに元気になってく感じがしました。活動自体はすごく多岐に渡るのですけれども、やればやるほど軽やかに、爽やかになっていく印象だったのです。
その当時の私は、 開発僧の研究をしながらも、いろんな心の悩みを抱えていました。研究以外にもさまざまなボランティア活動をしていましたし、人様のためにと一生懸命やっていました。ただ、やればやるほど自分自身は疲れてくる。疲れているけれど、またなんとかエネルギーをひねり出しては 、無理して活動をやっていました。
それに比べてタイのお坊さんたちは、やればやるほど軽やかになり、やればやるほど協力者が出てくる。一生懸命ではあるけど深刻な感じがしません。それなのに、活動の輪がどんどん広がっているのが印象的でした。
だんだん私自身の研究も開発僧の活動自体よりも、彼らの活動を支える心を持ち方に興味が向き始めました。何が違うのだろう?何か秘訣があるはずだ、と思いました。後ほどわかるのですが、瞑想だったんですね。
手動瞑想を実演される浦崎さん
その瞑想のスタイルは、タイの中でもちょっと変わったスタイルです。「手動瞑想」という手の動きを伴って行なう瞑想です。私の中で、スカトー寺のお坊さまたちの暮らしぶりへの関心がしだいに大きくなっていきました。
自分自身が出家しようと思ったことはないですけれど、「お坊さんライフがどういうものなのか?」という興味はすごくありました。
著者:カンポン・トーンブンヌム
訳:浦崎雅代
監訳:プラユキ・ナラテボー
出版社:佼成出版社
定価:本体1,400円+税
発行日:2007年11月
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