うつ病や不安障害などの精神疾患を治すための「マインドフルネス心理療法」をご存じですか?
うつの予防には、アメリカ人医師のジョン・カバット・ジンのマインドフルネスに基づくストレス低減プログラム(MBSR)が広く知られていますが、実は日本にもあるんですよ。
それが、自己洞察瞑想療法(SIMT)です。
私(ビーママ)は、今年の6月から、SIMT開発者の大田健次郎氏(日本マインドフルネス精神療法協会理事長)が主催する「マインドフルネス瞑想療法士(MMT)育成講座」に参加しています。
アラフォーワーママ(3歳児育児中・常に余裕なし)である私に、果たしてマインドフルネスの実践ができるのか。そして、MMTになれるのか!? いろいろ疑問はありますが、この連載では、マインドフルネスを身をもって学び、実践するリアルな日々を綴っていきます。
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MMT育成講座は、全10回の講義と課題の実践で構成されています。
第5回の講座は、10月13日(土)9時半~16時半まで、埼玉の浦和会館にて、開催されました。
講義内容は、「うつ病の分類と診断基準」「うつ病の神経生理学」「宗教とマインドフルネス」など。
クライエントを支援するにあたって、その人の状態がSIMTの適用になるかどうか、アセスメントをしなければなりません。うつ病なのかどうか、またうつ病ならばどのタイプなのか、など。そのために、うつ病のアセスメントについて広く学びました。
気持ちが落ち込んだ理由
第5回の課題では、前回同様、感情的な出来事について、どのように処したか記録するというものがありました。
1か月かけて、課題を実践するのですが、私はある日の職場での出来事を記録しました。
ある人と仕事上の打合せをすることになっていたのですが、すぐにスケジュールの連絡がなかったので、油断していました。月曜日の朝、メールチェックをすると、「今週はいかがでしょうか?」とその人からメールが来ていました。
“うわぁ。打合せのための準備もこれからなのに、今週かぁ…。”
と気持ちがものすごく焦ります。大丈夫かなぁと不安な気持ちも出てきます。
急いで一週間の予定を見直し、その日は準備のために外出することにしました。
頭の中はそのことでいっぱいで、ものすごく疲れました。
プラスして、出先で、すごく頑張って結果を出している同業者の人の話にふれて、なんだか気持ちが落ち込みました。
そのとき、そんな気持ちに気づいた私は、今こそSIMTじゃないかと、心に起きていることを見つめてみたのです。
体も心も疲れている(感覚)。そして、気持ちが落ち込んでいるなぁ(感情)。
なんでだろうか。ああ、そうか、人と比べたからだ。
人と比べるのではなくて、自分なりのやり方で、でも、精いっぱいやればいいんじゃないかな。
そこまで思い至ると、なんだか気持ちが楽になりました。
一生かけてのトレーニング
自分で言うのもなんですが、ちょっと、これ、いい感じの流れじゃないですか?
でも、そうなんです。SIMTのおかげか、仕事でのパフォーマンスの向上も実感できるし、家族とも穏やかな関係が築けているのです。
ただ、これは永続的なものじゃないことも分かっています。
何か、トラブルが起こったときに、感情的にならないかと言えば、それはない。売られたケンカは、たぶん買ってしまうでしょう。それがいつもの私のやり方であり、クセ(本音)だからです。
でも、SIMTの実践を続けているのといないのとでは、結果が違ってくるように思います。
講師によると、SIMTの実践とは、一生かけて続けるトレーニングだということです。
SIMTは、いわゆるアメリカ流のマインドフルネスのように、静かなところで一人で行う呼吸法の実践に終始してはいません。というのは、人の悩みというのは、対人関係から生じるものが大部分であり、そこにどう対処するかで、前回お伝えした「人生の価値」が実現できるか、崩壊してしまうかが決まります。SIMTが、実際の人間関係の場での訓練を重視しているのは、そのためなのです。
(次回に続く)。
※SIMTに興味を持たれた方は、佼成出版社の本『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』をご覧ください。