村田靖哲師の指導のもとイス坐禅に取り組む参加者
建長寺・村田靖哲 総務兼内務部長による挨拶でオープニングセレモニーは始まりました。ついで、石澤彰文 宗務総長を含む三名の導師のもと参加者全員による「般若心経」の読経。ふたたび、村田靖哲師の指導で「坐禅」のセッションが設けられました。
続いて、「つながりのある世界」をテーマに、 スティーブン・マーフィ重松・スタンフォード大学教授と三木康司・宍戸幹央 Zen 2.0代表理事による鼎談が行われました。
宍戸幹央 Zen 2.0代表理事(左)、スティーブン・マーフィ重松 スタンフォード大学教授(中)、三木康司 Zen 2.0代表理事(右)
その中で、重松教授は自身の幼少期を振り返り、「ぼくは子供の頃から、深い繋がりを求めている子供でした」と話されます。日本人で仏教徒の母とアイリッシュ系の無宗教の父を持つ重松教授。子供はカトリックの信仰の中で育つべきだというアイリッシュ系の共同体の中で兄弟たちと少年時代を過ごします。
成長するにつれ、過去の繋がりとは切れていると感じる青年となりました。20代の頃、マサチューセッツ州ケンブリッジのアパートの三階に住んでいた時に火事にあいます。貴重品を持ち出す余裕もなく、玄関脇に置いてあったギターを掴み避難したそうです。
消防自動車による消化活動。数時間で戻れると思ったアパートのビルディングもほぼ全焼。ジャッケットもなくシャツとスラックスだけでギターを抱えて冬のボストンを過ごしました。その時に、「綺麗なメッセージを受けた」と重松教授は当時を思い起こします。「それは簡単な祈りです。Oh my god, you are here. Oh my god, I am here. Oh my god, we are here.」この綺麗なメッセージを受けて、重松教授は人生が変わったと感じます。そして「私たち人間はみんな繋がりを求めている」と確信します。
「God(神)という言葉に抵抗があれば、宇宙(Universe)、自然(Nature)や大いなる存在(Higher Power)と捉えても良いです。自分よりなにか大きな力があるんです」。
重松教授によれば、現代のアメリカ人は個人(individual)という意識がしみついていて、なんでも自分でコントロールすることを望んでいるのだそうです。しかし、それは出来ないのです。人間は弱くヘルプレスな存在です。しかし、人生には何か目的があると信じることが非常に重要です。「そしてその目的をよく聞くことが必要です」と重松教授。「そのためにはマインドフルネスが必要なのです」。
スティーブン・マーフィ重松教授の話を熱心に聞く参加者
「人間はみなひとりぼっちというのは妄想なんですね。自分とつながることで大事なことは、自分を全て受け入れること」。そして、私たちはいろんな人と繋がることができると重松教授は強調します。
「“Oh my god, you are here. Oh my god, I am here. Oh my god, we are here.”これからこの三つの繋がりを使って、是非、一緒に考えていきましょう」と重松教授は締めくくりました。
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