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2019年「つながり(Connectedness)」Zen 2.0レポート(2)

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グループになり、キャサリンさんのお話しをシェアする参加者たち

山田凌雲老師に坐禅会開催を許されて、キャサリンさんは、鎌倉市扇ガ谷にある浄土宗の尼寺・英勝寺と東京の四谷にある上智大学で月に一度の割合で小さな坐禅会を開催しています。

「不思議に、毎日少しでも3分でも5分でも坐り続けて、それを月に1回かふた月に1回でもいいんです。そうすると指導を受けにくる方たちがものすごく変わってきます。それが坐禅のパワーです」。

30年前から、築地にある「国立がん研究センター中央病院」の小児科カウンセラーのボランティアをしているキャサリンさん。「ガンの治療はものすごく進歩しています。普通のガンならば大学病院などで治る比率はものすごく良いです」と語られます。

しかし、築地にあるセンターは、研究のための病院です。そのため日本国内では北海道から沖縄まで、ときにはバンコクや中国などの外国からも、稀なガンやとても治りにくいガンの子どもが受診に来ます。一年に十数人の子どもがガンで無くなります。環境問題と関係があるのではとキャサリンさんは憂慮します。

ガンで入院している子どもさんたちと接しながら、ガンの部位によって足が切断されたり、腕が切断されたりします。治療が効かなくなって、「もう家へ連れて帰りませんか」と言われた時のご両親のガッカリとした表情を目の当たりにするのだそうです。国立のがんセンターなので宗教の話は一切しないことになっています。

「聞かれたら答えても良いと言われています」。そんな時、「呼吸法をお教えしましょうか?」とキャサリンさんは尋ねているそうです。たいていの子どもとそのご家族は「教えてください」と返答されます。

イスに座る元気もなくベッドに寝たままの子ども。普通は半眼で行う呼吸法も目を瞑りましょうと勧めます。

「そうすると自分の呼吸をかすかに感じるでしょ。吸う息のとき、また、吐くときは水が砂に入るようにジーッと自分の呼吸を見るの」。その時、親御さんがいたら子どもの手を握りましょうとキャサリンさんは言います。子どもが一人だったら手を組むように教えます。それを大抵、一分ほど続けます。

「そして、大抵の子どもがそれで落ち着くんです」。そして、キャサリンさんはよく親御さんに説明します。「自分の心が落ち着いたら、それが子どもへの一番のプレゼントなのよ」。パニック状態になった子どもは「死ぬのが怖い」とよく言うんです。

「忘れられない子どもがいます。13歳の男の子」。その少年とお母さんとキャサリンさんの三人は手を繋ぎ瞑想をしていました。その「沈黙のつながり」を味わいながら、13歳の少年が言ったそうです。「これは不思議な力。神さまか仏さまかわからないけど、これは不思議な力」と。

二三日後、その少年はお母さんに「ぼく、死ぬのがぜんぜん怖くないよ」と言って、すーっと逝ったそうです。「この『沈黙の中の繋がり』が不思議でしょうがないんです」とキャサリンさんはおっしゃいました。

(Zen 2.0のレポートは次回へ続きます)

 

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