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「日本の叡智とマインドフルネス」熊野宏昭×鎌田東二 Zen 2.0レポート(6)

熊野宏昭先生・鎌田東二先生
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「いのちの本質は詩(ポエム)」と言う鎌田先生

すべてのものは歌を詠う

40億年前に原始生命が誕生したとされていますが、それから現在に至るまで、原子の構造も遺伝子の構造も変わらないと聞いています。この変わらない構造というものが、我々の中に「懐かしさ(ノスタルジー)」として内蔵されているし、セットされているのでしょう。
だからこそ、ものの声を利くことができる。宇宙の声を利くことができる。我々自身は、完全に利くことが可能なはずなのです。そういうものの声を、どういう「(表現)回路」を通して、チャンネルを持って利いてゆくかということを、紀貫之、「新古今和歌集」の編者・藤原定家、俳諧を編み出した松尾芭蕉などが、その技法(ワザ)を俳諧や和歌を通して伝えてくれました。我々一人ひとりも、このワザ「表現技法」をぜひ持ちたい、それが今日の提案です。

〈俳諧〉とは、その文字を分解すれば、「〈俳〉人に非ず(すべての生きものが)、〈諧〉皆、言う」ということです。

諧という文字は、ハーモニーという意味があると同時に「皆、言う」、ハーモニーというのは、すべてのものが歌を詠っているということです。その歌をちゃんと利ける。そして歌を詠っている状態に皆もなれる、自分もなれる。それが「諧(皆、言う)」です。

そういう俳諧の精神が、完全受動態に近い心だ。日本の、そして本来の「マインドフルネス」なのだ、ということを松尾芭蕉はその俳諧哲学を貫き示してくれました。こうして、日本人の身心変容技法は俳諧に極まったのです。この宇宙的で、言霊と感応するようなワザ、そういう俳諧の持つ奥深い精神性、霊性的基盤を我々は汲み取って、「今を生きる力」にしてゆきたいと私は期待し、また信じているのです。

――そう、鎌田東二先生は、力強く私どもの進むべき道を示してくださいました。(了)

(Zen 2.0のレポートは次回へ続きます)

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