百年企業の四つの共通項
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日本には企業が412万社あります。その内、創業100年以上続く企業(長寿企業)は2万社あり、これは世界第1位です。200年以上は3113社で、世界2位のドイツの約2倍です。さらに1000年以上の企業は、19社もあります。最も古い業歴の会社は1432年の歴史を誇っています。日本は歴史の古さでも社数でも世界第1位なのです。
日本人は、「続ける」ことに大きな価値を持っています。単に伝統を守ってきただけでは顧客に見放されてしまうので、まさに仏教の「諸行無常」の教えの通り、環境や顧客の変化に機敏に対応して不断の革新を続けてきたからこそ、生き残ってきたのです。
日本企業全体の数は、1990年の520万社が、2010年には430万社と20年間で90万社減少。毎年平均で4.5万社も減っています。創業5年以内に35%が消え、創業50年を迎えることができる企業は5%です。近年は廃業率のほうが開業率よりも上回っているのです。創業から現在までの企業の平均業歴年数は40.5年です。
百年企業の約8割は家訓・社是などを持っています。会社の目指す方向性や社員共通の価値観を醸成することは、改革の際の立ち返るべき原点として重要なものです。
百年企業に共通している家訓・社是は、「変化させてはいけない伝統・理念」を維持しつつ、「時代の流れや顧客の変化に対応し、常に革新を行なっていく」という理念や社風を持っていることです。次のような共通項目があります。
①顧客第一主義、顧客との厚い信頼関係と変革への挑戦……「先義後利」「自利利他」「三方よし」に見られるように顧客に喜んでもらえる商品やサービスがあって後から利益がついてくると社員に説く。
②本業重視とその技術を生かした分野への挑戦……本業に徹することでノウハウ、知識を究め、応用力ができ、その強みを生かして周辺分野に挑戦している。
③品質本位と販売チャネルを時代に合わせて開拓……品質を重視しブランドにまで高め、材料や技術を重視するが、一方で販売チャネルを時代に合わせて変更や開拓(海外販路やネット通販など)していく工夫を行う。
④従業員重視と人材育成……人材は「人財」として大事にし、人材育成に時間と金を惜しまない。仏性礼拝の精神で社員の自主性を重んじている。会社と社員との一体感を高める仕掛けがうまい。