(画像・PIXTA)
多様性をどう活かす?
ダイバーシティー(多様性)という言葉を耳にされた方は多いと思います。
ダイバーシティーというと日本では、「女性や高齢者の活用」「外国人労働者の導入」などが思い浮かびますが、世界では人種、文化、生活、言葉、価値観、宗教などさまざまな違いのことを呼びます。
多様性を経営に活かすことは、同質文化にありがちな偏った考え方や社風文化から幅広く柔軟なアイデアを吸い上げ、企業力を高めていこうとするものなので、方向性は正しいといえます。
ただ多様性には、気をつけるべき点があります。
それは多様性を受け入れること自体が目的になってしまい、受け入れれば企業がよくなると誤解してしまうこと。
大事なのは、多様性の先にある企業価値の「統合・一体感」や「求心力」があってこそ、多様性を活かした企業戦略が成り立つということです。
多様な人材の数合わせだけで企業は発展しません。
人材や価値観を一つの目的や成果に向けてまとめ上げ、ベクトルを合わせ、組織の求心力を高めて新たな独自の製品やサービスに具体化させることが経営戦略です。
経済がグローバル化し、世界の経済体制や市場が多極化(多様化)してきたので、各国は互いに主張し合い、価値観の相違から、ときに「不寛容」になり、摩擦を生みがちになりました。
しかし、他者の生き方を尊重することと、他者を好きになることとは別でよいのです。
本質的に価値観、文化、宗教が異なっていても、その多様性を受け入れる寛容性が重要であり、仏教にはそうしたものが内包されています。
たとえ価値観が異なり、生活スタイルが違っても、同じ目的のために心を開いて汗する「異体同心」の意識をもつことが必要なのです。
日本人は「和」を重んじ、欧米人は「差」を重んじるといわれます。
日本では他人との違いを主張しすぎないようにするなど協調性、同質性、チームワーク、組織の存続性、場の空気を読む気配りが尊ばれます。
一方、欧米では人とは違う「差異」「個性」を価値あるものとし、多様性、専門性を重視し、自己主張するのが一般的です。
このため日本的な「協調性」「同質性」の風土を踏まえつつ、「自分」の考えをしっかりもち、「明確な目標」に向かって「求心力」を高め、新たな価値を創り、「個性」を尊重するダイバーシティー経営が重要になります。