(画像・PIXTA)
見逃された大ヒット作
大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」が人気を呼んでいます。
この『ハリー・ポッター』シリーズの作者であるJ・K・ローリングは、第一作の原稿を12の出版社に持ち込みましたが、ことごとく断られた苦労をしています。
当時、彼女は貧しいシングルマザーとして生活保護を受けながら執筆活動をしていました。それまでに本を出した実績などありません。
13社目がだめなら諦めようと覚悟を決めてロンドンのブルームズベリー社に持ち込みました。原稿を読んだ同社の会長は、興味深い内容だが果たして売れるかどうか迷い、8歳の娘に最初の章を読んで聞かせました。
すると娘は面白がって第二章も読んでほしいと強くせがみました。
会長は子どもが面白いというのであれば売れると考え、出版を決意したといいます。
結果は、4億5千万部の販売という世界的な大ヒットになりました。断った12社の出版のプロたちは、この作品の価値を見抜けず大ヒット作を逃したのです。
なぜ出版のプロたちは見逃したのか。
恐らく、「彼女は生活保護を受けているシングルマザーであり、作家としての実績も地位もないので、売れるような物語を書けるはずはない」という先入観にとらわれて、目利き能力が鈍ったのでしょう。
その点、子どもは先入観にとらわれず、純粋な心で感じることができるので、素直に反応したといえます。
この話は仕事を進めていくうえで大きな示唆を与えています。ある程度の先入観を持って物事を見ると取捨選択が早くできるので、効率的で無駄が省けるかもしれません。しかし一方で、大事な価値や素晴らしいものを見逃してしまう失敗もあるということです。