目からウロコの仕事力

結果は時間差で現れる ──「因縁果報」

中央学術研究所客員研究員 佐藤武男
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(画像・PIXTA)

結果をすぐに求めない

「善因善果、悪因悪果」という言葉がありますが、いずれもすぐには結果が出ないことが多いものです。
きょう良いことをしたから、明日良いことが起きるというわけではありません。また、悪い行ないをしたからといって、すぐに悪い報いがあるわけでもありません。
原因が結果に結びつくには、時間がかかるのです。

良き行ないは時間差で良き結果をもたらしてくれるので、焦りは禁物です。
経験的には、良き行ないが実を結び、良い結果に結びつくには、十年程度はかかると思っています。早くて五年、困難なものは二十年くらいかかるものです。

スポーツの世界でも厳しい練習を積み、試合で鍛錬して、一人前になるのに十年はかかります。
小学校入学前から始めて、高校・大学時代に花が開くのです。会社でも新卒で入社してから管理職になるには、早い人でも十年かかります。
いろいろな仕事の経験を積み、実績、意欲、能力、人間性、マネジメント力などが総合的に判断されて、管理職に昇格するのです。

ということは、夢や目標は十年先を見据えて計画を立て、きちんと継続して精進・努力すれば、良き結果が出てくるといえます。
たとえ期待した結果が出なくても、夢に挑戦したことでいろいろと経験でき、そうした苦労によって視野も広がって成長でき、次の目標へとつなげていけるのです。
一方、首尾よく結果が出たら周囲に感謝して、また次の大きな夢や目標を掲げて進むことが大事です。夢に挑戦するのに年齢は制約になりません。

ある会社での部長への昇格審査で、実績は申し分のない候補者が複数いるなかで、最終的に選ばれたのは、謙虚で誠実な人で、「自分の業績は部下のおかげ」と日ごろから感謝の心を忘れず、利他の心で行動している人でした。
その行動力は早く、品質やサービス面はお客さまのためなので部下に妥協を許さず厳しいのですが、あたたかな人間味と公平性があり、リーダーとして率先垂範で周囲を引っ張る人でした。
そうした人をIntegrity(インテグリティ、誠実で使命感や責任感があり信頼できる)のある人と呼んでいます。

会社で長く部下を見てきた経験から、仕事への取り組みが積極的で向上心があり、他部署にも思いやりの心で助け、人に気配りや感謝できるような人が、長く不遇のままいるのを見たことがありません。
たとえ、そのときの直属の上司に人を見る目がなくても、他部署の人から推薦され抜てきされていきました。会社では見ている人はきちんと見ているのです。

長い目で見れば善因は善果に通じ、悪因は悪果を呼ぶのです。

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