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ブッダも経済活動を認めていた
宗教は長年にわたり、その地域や国の人々の精神構造や勤勉の倫理など行動様式に影響を与えてきました。
それは、人間の営みである経済活動もしかり。
人々を経済活動に向かわせているのは宗教だけでありませんが、一人ひとりの考え方や行動の積み重ねが、地域、社会、国家の経済活動全体につながっています。
世界の宗教の中には、一般の人々が経済活動を推進する上で、勤勉などの経済倫理や経済活動の意義に積極的な価値を与え、後押ししてくれる宗教があります。
キリスト教のプロテスタント、仏教の大乗仏教、ユダヤ教などです。
仕事は単なる生活の糧を得るための手段ではなく、仕事を通して創意工夫をしてより良い商品を作り出していくものであり、そこから技術や心が磨かれ、人間性が高まるのです。
仕事を苦役としてではなく、天職として考えるほうが仕事に前向きになれます。大乗仏教は、キリスト教のプロテスタントと同じように、仕事を天職と考える精神性があり、経済活動を後押ししています。
ブッダは、法や道徳規範に反せず、正しい生産や商業活動による倫理的な営利活動の結果としての財の蓄積となる経済活動を奨励しました。そこで得た利益は四つに分けて使うことを説いています。
一つ目は、次の事業のための投資に使う。
二つ目は、妻子や使用人を養う。
三つ目は、将来のために貯蓄する。
四つ目は、出家修行者に布施するために活用する。
同時に、ブッダは詐取的な経済取引は厳しく戒めました。また寒すぎるとか、暑すぎるといっては仕事を怠けるような若者は去っていくべしと厳しく断じ、勤勉で正直に働くことに高い宗教的価値を置きました。
大乗仏教では、在家での職業生活で、努力して精励・勤勉に励み、適正な方法で得た財(利益)や富は人生の望ましい目的の一つで、積極的に尊重すべきと説いています。