整理整頓で、転倒を防ぐ
加齢にともなって判断力や注意力が衰えてくる高齢者は、よくつまずくようになります。
自分が思っているほど足が上がっていないというのも、高齢者ではよくあることです。ほんの数ミリの段差でも、つまずいて転んでしまうことがあるのですね。このほか、血圧が高かったり、睡眠不足が続いたりすると、体がふらついてしまうのも転倒の原因になります。
認知症の場合は、認知機能障害だけでなく、注意機能も侵害されてしまうので、ちょっとしたじゅうたんのめくれにつまずいて骨折につながってしまうというケースはよくあります。
また、整理整頓されていない家では、転がっているものに足をひっかけたりする危険性も高くなります。前項で述べたように、年をとってからの転倒はとても危険です。骨折はもとより、転倒した瞬間に頭を打ったりして、大ケガの原因にもなります。
ちょっとした不注意が、寝たきりや認知症につながることがあるので、用心したいものです。
たかせクリニック理事長
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
1956年、兵庫県生まれ。信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了、医学博士。麻酔科、小児科研修を経て、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。著書に『これで安心 はじめての認知症介護』など。