目からウロコの仕事力

仕事での試行錯誤を通して人間性が磨かれる ──「煩悩即菩提」

中央学術研究所客員研究員 佐藤武男
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「会社即道場」

仕事は単なる生活の糧を得るための手段ではありません。自らの創意工夫や、仲間と切磋琢磨しながら、より良い商品を作り出していく中で、技術や心が磨かれ人間性が高まるのです。仕事を苦役と考えず、天職として考えていくほうが前向きになれます。「会社即道場」なのです。

大乗仏教やキリスト教のプロテスタントの国では、仕事を天職と考える精神性があり、経済が発展している国が多くなっています。

日本人の中には正直で勤勉に仕事をする精神性と、仕事を通して世のため人のために役に立たなければいけないとする倫理性があります。

日本人にはまた、現状に自己満足せず自己反省し、大きな目的やビジョンに向かって努力・精進し、チームで協力し合い、創意工夫し切磋琢磨するというDNAが流れています。仕事の中で仏教の教えの「八正道」や「六波羅蜜」を実践し、勤勉・実直に業務に励むことは仏道修行そのものです。

ソニーでは、創業者である井深大氏が語った「仕事の報酬は仕事である」という考え方が社内に深く浸透しています。それは「良い仕事をすれば、新たな仕事が顧客や会社内から入り、また心が通じ合う多くの仲間を得ることができる。自らの技術力や専門性を高めることができる」という考え方です。

チームで知恵を出しながら優れた技術を開発して作られたソニーのビデオカメラは、今や世界市場の44パーセントのシェアを有し、世界ナンバーワンのヒット商品です。

輝いている会社の現場に共通しているのは、チームワークや自主性、リーダーシップです。そこには社員の仕事へのプライド(誇り)と互いにリスペクト(尊敬)する心が浸透しているのでチーム一丸となってお客さま目線で商品開発ができるのです。私たちが働く上で肝に銘じたいものです。

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