原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話

怒りは自分を破壊し他人を破壊する

アルボムッレ・スマナサーラ
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怒りには、怒らないことによって勝てる。
悪事には、善い行為で勝てる。
物惜しみには、分かち合うことによって勝てる。
真実によって、虚言の人に勝てる。

「ダンマパダ」(223)

画像・AdobeStock

嫉妬、物惜しみ、後悔、憎しみ、悩み、陰気、いらだち、いやな気持ち……。仏教でいう「怒り」とは「腹を立てていきどおる」という意味だけでなく、「ものごとを素直に受け入れられずに、心のなかで対立している働き」もあらわしています。

怒りには破壊するエネルギーがあります。まず最初に破壊するもの、それは自分自身です。体のなかに火が生まれて、自分を燃やし始めます。それは毒を飲むことと同じです。

よく怒る人は、体が悪くなって早く老けてしまいます。いちばん先に影響を受けるのは内臓です。じわじわと内臓が悪くなって、やがてあちこちに痛みが生じます。そうして、胃潰瘍になったり、ガンになったりします。

そして怒りは自分を破壊するだけでなく、周りの人びとにも悪影響を与えます。和やかなところに、怒っている人があらわれると、雰囲気が一瞬にして硬直してピリピリします。強烈な怒りの波動を周囲に発して、みんなの穏やかな心を破壊してしまうのです。

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