原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話

心を具体的にとらえるには

アルボムッレ・スマナサーラ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る


あらゆるもののなかで、先立つものは心である。
あらゆるものは、心を主とし、
心によってつくりだされる。
もしも汚れた心で話したり行なったりするならば、
苦しみはその人につきまとう。
荷車を引く牛に車輪がついていくように。

「ダンマパダ」(1)

 

 

 

画像・AdobeStock

わたしたちは、生のおおもとにある心をないがしろにしています。心よりもかたちあるものを大事にしています。金や健康や建物を大事にして生きています。

生命あるものは、心によって行動しています。話したり食事をしたり、歩いたり仕事をしたりする働きは、心によるのです。人間関係がうまくいったりいかなかったりするのも、すべては心によるのです。どうしようもないと諦めることも、チャレンジするのも、心の働きです。いくら頑健でも、心にストレスがたまれば健康を害します。

過酷な仕事をしていても、生き甲斐をもってやっていれば疲れないものです。建物をつくるのは心、飛行機をつくるのは心、宇宙船をつくるのも心です。幸不幸、成功不成功は、心次第で決まります。心がすべての創造者なのです。ものごとは、無意識の心が願うとおりに運んでいくのです。心が現実をつくっているのです。

心のなかにネガティブな志向があれば、現実はそのようになるのです。「これは大変なことだから、自分にはできそうもない」と心が決めてしまうと、もうできなくなります。わたしたちは、心をないがしろにしています。心よりもかたちあるものを大事にしています。金や健康や建物を大事にして生きています。これでは、物質が神さまで、心は物質の奴隷になっているようなものです。わたしたちは、心によって生きているのです。心が自己の支配者であり自己の管理者なのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る