原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話

自我は苦しみを生むおおもと

アルボムッレ・スマナサーラ
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一般的に宗教というものは、堅苦しい儀式、きらびやかな衣装や道具を必要としています。「ああしてはいけない、こうしてはいけない」という決めごとがあったりします。また、滝に打たれたり、精進潔斎をしたり、呪文などを唱えたり、さまざまな修行方法があります。けれども、もっとも大切なことは、自分の心に気づくことです。そのためには衣装や道具も必要ありません。厳しい苦行も必要ありません。

お釈迦さまは、「自分の心をよく観る」という心の訓練法を教えました。自分の心に浮かぶことをよく観るのです。観ることによって、自分の心の悪いところ、性格の悪いところ、心の奥底に隠れていた悩みや苦しみは徐々に消えていきます。心というものは、外から強制的に縛りつけなくても、自分のありように気がついたら瞬時によくなるものなのです。

人間関係で苦しんでいるとしたら、それは自分の心に未解決な滞りがあるからなのです。心を観る最初のステップで、そういう苦しみは消えていきます。仕事も勉強も自然とうまくいくようになります。相手が良かろうが悪かろうが、その人とうまくいくようになります。なぜうまくいくかといえば、心が落ち着いてくるからです。自分自身の心が落ち着くことによって、周りの現実も、すべて落ち着いてくるのです。

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「ダンマパダ」とは、「真理のことば」という意味です。わたしは「お釈迦さまのことばにいちばん近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」を日本語に直訳し、一人でも多くの人にお釈迦さまの教えを伝えたい、と願っています。
お釈迦さまの教えを「一日一話」というかたちでまとめ、それぞれにわたしの説法を添えました。大切なことは、お釈迦さまの教えを少しずつでも実践することです。そうすれば、人生の悩みや苦しみを乗り越えていくことができるでしょう。

アルボムッレ・スマナサーラ

*アルボムッレ・スマナサーラ長老(**Ven. Alubomulle Sumanasara Thero**)*
テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は日本テーラワーダ仏教協会で仏教伝道と瞑想指導に従事する。他にNHK教育テレビ「心の時代」出演、朝日カルチャーセンター講師などを務める。『ブッダの幸福論』『無常の見方』『怒らないこと』(和文)『Freedom from Anger』(英文)など著書多数。
原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話
著者:アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,100円+税 Kindle版(kindle unlimited)
発行日:2003年10月
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