まず自分を正しくととのえ、ついで他人を教えなさい。
そのようにする賢明な人は、
煩わされて悩むことがない。
あなたが他人に教えるとおりに、自分でも行ないなさい。
自分をよくととのえた人こそ、他人をととのえる。
自分を制することはとても難しい。
「ダンマパダ」(158/159)
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わたしたちは、人から説教をされるといい気がしないのに、人には説教をしたがります。「しっかりしなさい」「がんばりなさい」と他人に言うのが好きです。しかし、それは「あなたはこうしなさい。でもわたしのことは、放っておいてほしい」といっているようなものです。説教をされた人もまた別の人にたいして、「しっかりしなさい」と言います。そして、言われた人もまた別の人に説教をします。それでは、いつまでたっても世の中はよくなりません。
他人の過ちは見えやすいものです。しかし、わたしたちは、ほんとうに他人の過ちが見えているのでしょうか。自分の勝手な思い込みで、過ちに見えているのかもしれません。
人の過失には、それなりの原因があります。しかし、その過失がその人の責任かどうかは、わたしたちにはわからないのです。たとえば、ある人が遅刻したとします。でもそれは、電車が事故を起こしたり、でかけるときに、子どもが病気になったのかもしれません。その人の責任でないことをいくら責めても、どうにもならないことです。結局は反感を買うことになります。
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