会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
5日間、食べるものもなく
画像・AdobeStock
食費を浮かした生活は、長くは続きませんでした。コンサルタントの仕事も軌道に乗るまでは時間が掛かり、結果が出たうえでの成功報酬なのですぐにお金を得ることができません。ついに食費も底をついてしまいました。数日間は、納豆ともずくで飢えを凌ぎましたが1週間ほどすると、それも食べきってしまいました。
ついに全ての食品が目の前から消えてしまったのです。それから5日間、ほぼ水分だけで耐えましたが、フラフラです。栄養失調の孤独死も覚悟したほどです。そんな時、東京の友人から1本の電話がかかってきました。「元気にしているか?」と電話の向こうで友人の声が響きます。私は正直に「食料がない」とも言えず、「何とか頑張ってる」と言うのが精いっぱいでした。
しかし、友人は何かを察したのでしょうか、「岸田、お前、本当は苦しいだろ」とずばり言い当てました。「実は・・・、5日間、何も食べてない」と答えると、「バカか!!何故、もっと早く言ってこない!!」と叱られました。「すぐに食料を送るから、もう一日だけ頑張れ!!」。私は、その言葉にどれだけ救われたことでしょうか。
翌日のお昼過ぎ、段ボール箱2個が宅配便で届きました。中には、ラーメン、缶詰、お菓子、パン、お米、レトルトパックのカレー、果物等がギッシリと詰まっています。すぐに友人に電話で感謝の気持ちを伝えました。「こんな時に助けてくれるのが本当の友人だ」と心の中で叫んだものです。昨日、電話を切った後、仕事中にも関わらず、すぐに食料の調達に走ってくれたのですから。
暫くの間の食料に目途が立ちましたが、まだ仕事で移動する交通費の目途が立ちません。恥ずかしい思いはしたくはなかったのですが、クライアントに電話をして、月末に振り込まれるお金を早めに振り込んでもらえるよう、お願いをしました。背に腹は変えられませんからね。
(次週に続く)
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