会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
姉夫婦の借金
私の会社が順調だった頃、義兄が経営していた会社が倒産、自己破産をしました。当時、姉夫婦は大きな家に住んでいましたが、敷地の半分を売ることにしました。そのための工事費用を私の実家を担保にし、銀行から借り入れしてくれないかとの申し入れが親にありました。当初、もし返済できなければ親が住む家がなくなるので、私は反対しました。
しかし、父親は姉や孫が可愛かったのでしょう。銀行から2600万円の借り入れをしました。最初は、姉夫婦は滞りなく返済をしていたのですが、徐々に返済が遅れるようになりました。すると父親から「実家の名義をおまえにするから代わって返済をしてくれないか」と私に言ってきたのです。断ったら両親の住む家が無くなるので、仕方なく承諾しました。毎月144000円の返済です。前妻には反対されましたが、断ることもできず、仕方なく返済をしていました。
ところが私の会社が持ち逃げ詐欺に遭い、返済できなくなってしまったことで、親の家は、競売にかかってしまいました。その時、競売になって家を取られるのは、私が返済できなくなったからだと責められました。それは悔しかったですよ。姉夫婦の借金なのに肩代わりして返済してあげていたのですからね。
両親のお気に入りの家でした。いつも庭で楽しそうに水撒きをしている両親が今でも目に浮かびます。私の事業が順調にいってさえいれば、こんなことにならなかったのでしょう。それだけに持ち逃げした人物をより憎むようにもなりました。いつの日か、両親に新しい家を建ててあげたいと思ったものですが、もうこの世にはいませんので、無念に思います。
(次週に続く)
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